2021年8月19日木曜日

ホリーホック・ハウスHollyhock House_Frank Lloyd Wright フランク・ロイド・ライト_1922 ★★★★★


建築名作日めくりを毎日めくっていると、やたらとこの数年に訪れた建築ばかりが目に留まる。記憶が鮮やかなうちにとこちらも2年前の秋にロサンゼルスで訪れたライトのホリーホック・ハウス。この住宅も内部を見学するためにはツアーに参加しなければならず、事前に申し込みを済ませ、ハリウッドサインの良く見えるバーンズドール・アート・パーク(Barnsdall Park)に向かう。



住宅内部はツアーに参加しなければ見学できないが、公園自体は開放されているらしく、グリフィス天文台の足元に広がるオリーブ・ヒル(Olive Hill)に設けられたこの公園には多くの地元民が芝生でヨガをしたり、寝転んで本を読んでいたりと、自由に使われている。

建物脇のオフィスに集合し、申し込んだのがなぜか明日のツアーになっていたが、事務局の人に事情を説明すると、今日のツアーはまだ満員ではないから今日にシフトしてくれるという。二人のツアーガイドに連れられて約20名ほどの参加者でツアーの開始。








ライルラッシュで富を成した バーンズドール家(Barnsdall)の娘、 アリーン・バーンズドール(Aline Barnsdall)はこのロサンゼルスの地で大掛かりな開発を行おうとする。選んだのはオリーブ・ヒルの地で、劇場を中心としたいくつかの建物群を構想しており、その設計を依頼したのがシカゴで知り合っていたフランク・ロイド・ライト。

ロサンゼルスでの ライト設計による住宅といえば、このオリーブ・ヒルから少し北にいった丘の上に位置するエニス・ハウス(Ennis House)は1924年に完成しているので、まずこちらのホリーホック・ハウスを手掛け1922年の完成時にはすでにエニス・ハウスの設計も始まっていたというところだろうか。

全体計画の中心に位置するのが、クライアントであるアリーン・バーンズドールの自宅。彼女のすきだったホリーホック(Hollyhock, 花あおい)から名を取って、ホリーホック・ハウス(Hollyhock House)と呼ばれているらしいが、建物のあちこちに使われているパターンもライトがこのホリーホック(Hollyhock)を抽象化したものだという。
 
ガイドの話によると、設計期間中ライトはほとんど進行中であったビックプロジェクトである、東京の帝国ホテルの設計の為に日本に行ってしまっており、設計のほとんどはライトの息子と事務所のスタッフであったルドルフ・シンドラー (Rudolph Schindler)によって行われたという。
 
内部空間は背の低いエントランスから、メインの機能空間を繋ぐ空間には必ず外の公園か内部のコートヤードと接続した場所が設けられていたりと、どの場所もとても豊かでかつ心地の良い空間が連なっていく。建築から家具、装飾まで徹底したデザインがなされており、一体どれだけの図面を描けばこれだけの濃密な空間ができるのだろうかと圧倒される。 
 




プライバシーを気にせずに、外に向かって思い切り視界を開き、外部の光を存分に取り込める。家の中には一日を楽しむだけの様々な空間が用意されていて、その中で日々を過ごし、それが年月になる時間の過ごし方というのは、一体どれほどの喜びを与えてくれるのだろうかと想像しつつ、内容たっぷりのツアーを終えて、エニス・ハウスを遠目からでも見学していこうと、グリフィス天文台へと車を走らせる。
 

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