2016年2月8日月曜日

としまエコミューゼタウン(豊島区庁舎,Brillia Tower 池袋) 隈研吾 2015 ★★


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所在地  東京都豊島区南池袋
設計   隈研吾
竣工   2015
機能   商業施設、区役所、マンション
規模   地上49階・地下3階・塔屋2階
建築面積 5,319m2
延床面積 94,681m2(アマン東京)
構造   SRC造・RC造・一部S造
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池袋の会計士さんの事務所に挨拶に行くと、その事務所の階段からすぐ近くに見える異様なほどの高さのビルがある。それが新しく移転した豊島区役所とその上に立つ高層マンションの複合施設であるとしまエコミューゼタウン(豊島区庁舎,Brillia Tower 池袋) である。昨年から、マンションと庁舎の一体となった開発で、上層のマンションの販売によってプロジェクト全体のコストをカバーするどころか返って利益が出たプロジェクトとして、建築の分野だけでなく、日本中の市町村からも見学が殺到しているとメディアで多く取り上げられている注目のプロジェクトである。

行政にマンションを売り出すディベロッパー、それを高層ビルで上下に重ねるという非常に複雑な建築ということで、まったく異なる分野の建築に対しての経験とノウハウを持ち、かつまったく違った行動規範を持つクライアントを折衷できる能力を持つ設計事務所となったら恐らく今の日本では間違いなく一番に名が挙がるのが、設計者である隈研吾であろう。

断面図を見てみるとその複雑度は度を越しており、1階から9階までは南に向けてステップする屋外テラスを併設する区役所。10階が免震層として11階が上部マンションのスカイエントランス。つまり住民は一階部分の片隅にある小さなロビーからエレベーターにのり11階に到着し、そこでエレベーターを乗り換えてセントラル・コアとなる真ん中に位置するエレベーターを利用して自分の部屋のある階へとアクセスするわけである。

さらに地下では有楽町線東池袋駅に直結しており、確かに区役所に用事がある人は駅直結で区役所にアクセスできるわけである。そして地下鉄が走っているために、地下が思うように利用できなかったのであろう、これだけの住居数をもつマンションだけにそれなりの駐車場を併設しなければならず、しかしそのスペースが地下には取れない。ではどうするかというと、幅の広い平面を持つことになる区役所部分の真ん中、つまり外部から光の入らない機能空間としては価値の低い部分を立体の機械式駐車場として利用するというアクロバット。

さらに区役所の縦方向の動線はエレベーターにそって背の高いアトリウムとなっており屋上庭園から自然光を取り込むとともに、ベンチュリー効果の利用によって各階の自然喚起を促進する。そして10階の屋上庭園は「豊島の森」として自然環境を作り出し、そこからステップする各階テラスに流れ落ちるように緑化壁面と階段が各階をつなぎ、エコウォールと呼ばれる空間になっている。

そして一階のもっとも不特定多数の人が訪れる場所のサイン計画はできるだけ邪魔にならないようにと、壁や床に直接象嵌するタイプの新しい試みがされているなど、全体的に派手なことは決してせず、できるだけ標準化を行いながらも質の高い空間をつくりだしている。詳しい関係業者などはこちらで。


恐らく訪れた人の誰もが、このプロジェクトの複雑さに一切気がつくことなく、ただその快適性、区役所でありながら解放的で明るい空間に満足して帰っていくのだろうと想像し、これはこのプロジェクトに対してある意味完璧な解答である設計であるなと納得しつつも、それでも自分たちであればそれ以上に何ができるのかを考えながら、池袋駅前のブックオフへと足を向けることにする。



























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