2013年9月7日土曜日

「GEQ 大地震」 柴田哲孝 双葉文庫 2010 ★


記憶に新しい東日本大震災。2年半経った今も復興は遅々として進まず、それどころか併発した原発事故後の日本の迷走は未だに行き先が見えない。その地震が起きたのは、政権交代が叫ばれ戦後初めて二大政党制が成立したかに見えた民主党政権時代。

早朝のテレビを見たら、まるで戦場のようになった神戸の風景。高速道路が途中で切れて、車がぶら下がっている姿と火の手に追われる街の姿は高度成長を遂げた日本に大きなショックを与えた。そしてこの阪神淡路大震災が起きた時は戦後始めて自民党以外が内閣を努めた連立政権時代。

巨大大国が近代化の象徴として準備していた北京オリンピック。その直前で起こったチベット紛争。世界各地で起こる聖火ランナーへの妨害。そして各国トップが表明するボイコットへの可能性。そんな中起こった四川大地震。それを契機に世界の意見は逆転し、オリンピックは国家の団結の象徴へ。

911の後ろでささやかれる様々な憶測。結局は誰が得をし、誰が笑ったのか?

あくまでも911は人為的テロであるが、もし地球で起こる超巨大地震が作為的に引き起こされたものだとしたら一体誰が得をし、誰が笑ったのか?

そんなネット上で飛び交うような都市伝説を一つ一つ検証して一つの線として紡いでいく。世界中に起こる不都合な真実。自然現象に必ず結果に対応する理由があるように、自然現象といわれる災害にも、何かしらの理由があり、それは自然的な理由だけでなく、人為的理由も隠されているとしたら。

そんなとっかかりはとても広がりをもったネタではあると思うが、それぞれのネタを繋ぐ大きな物語なしに、あまりに安易に繋げる感は否めない。

「なんなんだ、この終わり方は・・・」と言わざるを得ない、何の説明もない最後。

「何で生きてるの?」
「ケロイドの説明はどうしたの?」
「今はどうやって生活を成り立たせてるのか?」
「何を知ってしまったのか?」
などと想像力を刺激するようなレベルでなく、あまりに詰められてないプロット。

あまりに稚拙なカンパニーの行動。「どこの国のトップの諜報工作員がこんな安易に単独行動をするのだろうか・・・」と突っ込みどころが満載。

一つの国の利益は他の国の不利益ともなり、国家レベルで利益が共有できるというためには相当なところまで詰めていかないといけないと思うが、「そんな簡単に大国間で合意がとれるか・・・。そんなに大勢が知っちゃっていいのか・・・」となんだか悲しくなってページを捲る。

かつての作品は好きだったがそろそろ潮時かと思わずにいられない一冊。

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