2016年2月16日火曜日

岐阜市市民会館 坂倉準三 1967 ★★


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所在地  岐阜県岐阜市美江寺町2
設計   坂倉準三
竣工   1967
機能   文化普及支援施設
規模   地下1階、地上4階
建築面積 3,148m²
延床面積 8,265m²
構造   RC造一部S造
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1968年BCS賞
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南宮大社から国道21号線を東に向かい、まだランチ営業をしてそうなうどん屋を見つけ飛び込むと、ギリギリオーダーを受け付けてくれるという。暖かいうどんでお腹を満たし、少しピリピリ感の薄れたのを感じながら向かった先は岐阜市の中心に位置するいくつかの建築群。

今回の岐阜行きのメインの目的地「みんなの森 ぎふメディアコスモス」に到着し、中に入るカフェで落ち着いている両親と妻を残し、一人向かうのは斜向かいの「岐阜市市民会館」。午前中に立ち寄った羽鳥市庁舎同様、坂倉準三の手による設計である。

1937年 パリ万博日本館 (36歳,現存せず) 
1941年 飯箸邸 (40歳,現・ドメイヌ・ドゥ・ミクニ、Docomomo Japan)
1949年 大阪スタヂアム (48歳,現存せず)
1951年 神奈川県立近代美術館 鎌倉館本館 (50歳,Docomomo Japan)
     東京日仏学院 (50歳,現・アンスティチュ・フランセ東京)
1953年 岡本太郎邸 (52歳,現・岡本太郎記念館)
1955年 国際文化会館 (54歳,前川國男・吉村順三と共同設計,日本建築学会賞,Docomomo Japan選定)
1959年 羽島市庁舎 (58歳,日本建築学会賞,Docomomo Japan)
     シルクセンター国際貿易観光会館 (54歳,BCS賞)
1962年 呉市庁舎・呉市民会館 (61歳,現存せず)
1963年 羽島市勤労青少年ホーム (62歳)
     佐賀県体育館 (62歳,現・市村記念体育館)
1964年 上野市庁舎 (63歳,現・伊賀市庁舎、南庁舎のみ現存)
     芦屋市民センター 市民会館本館 (63歳)
    ホテル三愛 (63歳,現・札幌パークホテル)
1966年 神奈川県立近代美術館鎌倉館新館 (65歳)
    神奈川県庁新庁舎 (65歳,BCS賞)
    新宿駅西口広場 (65歳,日本建築学会賞,Docomomo Japan)
    名古屋近鉄ビル (65歳)
1967年 小田急電鉄新宿駅西口本屋ビル (66歳,現・小田急百貨店本店)
    岐阜市民会館 (66歳,BCS賞)
    山口県立山口博物館 (66歳)
1968年 羽島市民会館 (67歳)
1969年 芦屋市民センター 市民会館ルナ・ホール
1969年 心筋梗塞のため68歳で没
1970年 大阪万国博覧会電力館 (現存せず)
    奈良近鉄ビル
1971年 宮崎県総合博物館 

年表を見ると、羽鳥市庁舎からおよそ10年近くたってのこの岐阜市市民会館。その間に日本全国の様々な市庁舎や文化施設を手がけて、満を持しての岐阜でのプロジェクト。水平性を強調するように張り出した二階部分のボリュームに、円錐形をした大ホールが突き刺さる明快な構成をとっている。

こちらのホームページで各図面を見ることができるが円形が見事にホールとして使われているのが見て取れる。


円形のホールというのは音響的に決して好まれる形状ではないはずであるが、「音響家が選ぶ優良ホール100選」にも選ばれているというので、様々な手を使って音響効果を改善したのだろうと想像する。

敷地の制限で前面道路との距離がかなり近いことに加えて、恐らく竣工以降に設置されたのであろう前面道路の歩道橋が、道路境界と建物までの空間を狭くしてしまっているのが残念である。またところどころに見える耐震ブレースが、1981年に改正された耐震基準以前に設計された建物だということ、またそれだけ長く使われ続けている建物だということを強く伝えているようである。














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