2015年3月7日土曜日

メンタルマップ

その都市に何度も足を運ばずとも、しばらく滞在していると自然と都市の方向感覚が頭に入ることがある。

これは都市計画自体がかなり明確な構成をとっていて、なおかつ地図という俯瞰的なイメージとそれを実際の身体スケールと重ねるためのキーポイント、例えば長く幅の広い中心道路や、それが接続する都市広場、その先で視線を受け止めるランドマークとしての建築物。それらが都市に散らばりつつも、メンタルマップとして大まかな地理的感覚を得るのに大きな手助けをしている。

大きな目抜き通りの先に必ずランドマークとなる建物が見えるパリの街並み。
街のどこにいても、ピョコンと飛び出す塔が見えるセブンシスターズのモスクワ。
3つの巨大都市公園と東西に走る目抜き道路で貫通されるロンドン。
北の山、西の丘、南の海に挟まれて平坦な広がりを見せるバルセロナ。

都市に先立つ地形に対して普遍的な都市計画を持つことで成功した例と、
都市を人工的に管理するものとして作り出した近代的都市計画によって成功した例。

どちらにせよ、異邦者として立ち寄った都市がいつの間にか自分の身体で認知できるようになることは、旅人にとって何よりの喜びであるのは間違いない。

それは同時に、そこに住まう人々にとって、「自分の街」という認識を生み出し、共同体意識の作成に大きく寄与しているのだろうと容易に想像できる。

そんなメンタルマップの容易さを意識して、今度コンパクトシティへと変容していく日本各地の地方都市が住まいやすく、記憶に留めやすい場所へと変わっていくことを期待する。

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