2015年3月8日日曜日

「ワン・デイ 23年のラブストーリー」 ロネ・シェルフィグ 2011 ★★★

「イギリスに留学する」というのは、この様な大学生活をイメージしていたんだけどな・・・と調べてみると、舞台となっているのはエディンバラ大学だという。

古い街並みの中で、ゆったりとしたペースで学業に向き合いながら、それでいて都会の華やかさも味わえる。

主要な大学が大都市に集中してしまっている今では、それこそオックスフォードやケンブリッジなどに行かないとこんな大学生活は送れないのだろうと思いながら鑑賞した一本。

地味な女の子が、密かに想いを寄せていた同級生と卒業式の日に始めて言葉を交わし、その後互いに想いは持ちながらもすれ違いながらも離れずに、一番近い場所で互いの人生を見つめていくというラブストーリー。

大学を卒業し、舞台をエディンバラからロンドンとパリという都市に移し、華やかな世界に身を投じた彼と、自分の夢を持ちながら堅実に人生を歩んでいく主人公。やはりこういう少し知的で謙虚な役がアン・ハサウェイにははまり役だと思いながら物語は進行する。

全編を通してのキーワードは「同級生」。

社会に出てから知り合う人はなかなか深い繫がりになるのは難しい。日本の新卒入社、終身雇用制度の社会では「同期」という会社における同級生は少々特殊だとしても、学校時代の同級生はやはり人生における特別な存在であるのは間違いない。

それが、中学や高校といった、自分の意思による選択よりも、自分の生まれた家庭のある地域によってある程度自動的に所属することになる同級生と、自分で主体性を持って選び受験をして入った大学における同級生とでは、またその意味を別にする。

つまりは大学における同級生のほうが、より自分の考え方が近しい人が多く、親元を離れ学業に専念する4年間を一緒に過ごし、子供から大人へと変容していく貴重な時間の共有者でもある訳である。

そんな大学の同級生の二人。互いの恋人の相談や仕事での挫折など、十分に大人としての距離感を保ちながら、その気になれば若かりし「あの日」の気持ちにも戻れる関係性。

その距離感が「いつの日か」、縮まることで同級生から恋人へと二人の関係も変化する。そんな幸せの時間が訪れた二人を待ち受ける悲劇。

誰もが経験する「同級生」への恋心。そんな学生時代を思い出させてくれるような爽やかな一作である。
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スタッフ
監督 ロネ・シェルフィグ
脚本・原作  デヴィッド・ニコルズ
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キャスト
エマ・モーリー:アン・ハサウェイ
デクスター・メイヒュー :ジム・スタージェス
シルヴィー(デクスターの妻):ロモーラ・ガライ
イアン(売れないコメディアン):レイフ・スポール
スティーヴン(デクスターの父):ケン・ストット
アリソン(デクスターの母):パトリシア・クラークソン
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作品データ
原題  One day
製作年  2011年
製作国  アメリカ
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