2015年2月21日土曜日

詩とメルヘン絵本館 古谷誠章 1998 ★★


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所在地  高知県香美市香北町美良布
設計   古谷誠章
竣工   1998
機能   美術館
規模   地上1階・地下1階
敷地面積 835㎡
建築面積 254㎡
延床面積 458㎡
構造   木造、一部RC造
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アンパンマンミュージアムの奥に、細長い建物が地面から浮くようにして配置されている。これがアンパンミュージアムから2年後の1998年に建てられた、漫画家やなせたかしが編集をしてきた雑誌「詩とメルヘン」の表紙画を展示するための美術館。

恐らく、アンパンマンミュージアムの動員数が想定したよりも遥かに多く、市町村としても多くの観光客を呼び込み大成功という流れで、リピーターや新たなる動員をもくろんで新しいコンテンツを・・・という話があったのかどうかは分からないが、この美術館はあくまでやなせたかし氏個人が建設をし、その後行政に譲り渡すという形をとることで、通常の公共建築で行われるようなコンペやプロポーザルの手続きを経ずに、アンパンマンミュージアムを成功に導いた建築家・古谷誠章(ふるやのぶあき)と八木佐千子による建築事務所スタジオナスカに設計を直接依頼することになったという。

これは建築家としてなんとも嬉しいことである。まずは自分たちの設計した建築を「良かった」と評価してもらっているということ。そしてもう一つは発注者である漫画家と直接やり取りをして設計を進めることができ、行政の仕事にありがちな誰もが責任を回避するために新しいチャレンジができなくなったり、余計な手間がかかることを省くことができる。そして何より、自分が設計した建物の近くにもう一つ公共の建築を設計することはかつて設計した建築に新たな意味を付加することになる、建築を超えて二つの建築の間の空間、つまり都市空間の設計の領域に足を踏み入れることになる。

鉄骨構造らしい空間を十分につくりだしたアンパンミュージアムに対して、今回は豊富な県産の木材をつかった木造建築。高さも低く抑えられ、斜面に平屋のようにして地下のボリュームが見えてこないように設計されている。

アンパンマンミュージアムよりより後部の里山に近いことからか、外装材にも杉板が使われすでに感性から15年以上もたち、色合いもすっかり周囲の環境に溶け込むように馴染んでいる。これが自然素材を使った時間の設計の面白さ。

シンプルな外装には印象的なスリットが設けられており、これが内部に繊細な自然光を差し込むことになる。内部は写真撮影不可ということであったが、起伏のある地形に対して直方体を地面から浮かすことで地形の起伏を顕在化し、あとはアンパンマンミュージアムで作り出した豊かな内部空間に対して、美術館と図書館機能を併せ持った内部を直方体の中でどう処理するのか?と期待していしまったが、こちらはどちらかというと機能に素直に従っており、直線の空間のところどころに足を留めさすディテールが見てとれたが、空間としてアンパンマンミュージアムを超える何かがあるかと思えずに建物を後にする。

















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