2014年12月16日火曜日

「ザ・メイズ・ランナー」 ウェス・ボール 2014 ★★

アメリカの人気小説の映画化ということでかなり話題になっているらしいが、やはりいたるところに世界観の詰めの甘さがちりばめられたまま映像化されたのが良く見て取れる。

目を覚ますとなぜか過去の記憶を思い出せないまま、高いコンクリートの壁で囲まれた謎の場所に閉じ込められている主人公。同じ境遇でこの地に送り込まれた先輩に当たる少年達に手荒い歓迎を受けているうちに自分の名前だけは思い出す。

尋常でない状況の中暮らす少年達から徐々にここの状況や秩序の説明を受け、月に一度必需品と共に新たなる仲間が送り込まれるこの場所は、周囲を背の高いコンクリートの壁で囲まれた環境であり、その中では自給自炊ができるほどの豊かな環境が与えられているという。

コンクリートの壁は朝になると開き、内部は迷路の様に入り組んでいて、かつ謎の巨大生物が襲ってくる上に、毎日迷路を構成する壁の配置が変わると言う。そんな環境下で少年達は自ら秩序を守り、「ランナー」と呼ばれる足の速く勇敢な少年を迷路に送りながら内部の様子を把握しながら、3年を過ごしているという。

そんな環境に送られた主人公のトーマス。勇敢で恵まれた身体能力を持つ彼は、どうしても迷路の謎を解くべきだと少年達の住まう村の中に少しずつ波風を立てていく。

迷路が変形するハイテク技術と、その迷路が遺跡の様に朽ちているローテクの混在。そしてハイテクが後ろに潜んでいることを感じさせながら、謎の巨大生物や「ズズッ」と動く壁のこれまたローテクぶり。その中を走り、蔦を伝って壁を登る、まさに遺跡の中を走り回るインディジョーンズのような姿。

この迷路を運営し少年達を監視する科学者のオフィスがあまりに細かく設定が考えられてない様子からも良く分かるが、やはりあまり詳しいリサーチを行うことなく、一発のアイデアを元にして書かれた小説なのだろうと安易に想像がつく。

突然飛んでもない状況に置かれ、その中で少年達が葛藤し、それぞれの性格によって沸く割をこなしていき、争いを乗り越えながら、手を取りながら困難に立ち向かっていく。そして現れる一人の少女の役割も、今までは少年ばかりだったのに、なぜいきなり女性?と突っ込みどころは無限にあるが、日本の若者に爆発的に流行った王様ゲーム的な魅力とどれだけ共通項があるのかと考えながら機上で眠りに落ちるには丁度よい映画だろうと納得する。
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スタッフ
監督 ウェス・ボール
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キャスト
トーマス  ディラン・オブライエン
アルビー  アムル・アミーン
ミンホ  キ・ホン・リー
テレサ  カヤ・スコデラリオ
ニュート  トーマス・サングスター
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作品データ
原題  The Maze Runner
製作年  2014年
製作国  アメリカ
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