2014年2月2日日曜日

一畑電車(いちばたでんしゃ) 出雲大社前駅 1930 ★

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所在地  島根県出雲市大社町杵築南
設計   不詳
竣工   1930
構造   鉄筋コンクリート造
規模   平屋建
機能   駅舎
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出雲大社に交通公共機関を利用しアクセスすると、JR出雲駅からはバスか若しくは一畑電車(いちばたでんしゃ)を利用することになる。そして降り立つのがこの出雲大社前駅。

頭端式ホーム(とうたんしきホーム)と呼ばれる上から見ると、「ヨ」の字にプラットホームが形成され、一方に到着した車両がXの様に路線を変えて戻っていくいわゆる終着駅。

ヨーロッパのターミナル駅に見られる、電車が一方から入ってきて、そして同じ方向に戻っていくタイプの駅舎で、つまりは一方に乗客が行き来する「溜り空間」ができるので、多くのドラマが生まれる都市空間の一つ。関東では、JR東北本線の上野駅や西武鉄道新宿線の本川越駅などに見られるタイプである。

ロンドンに到着するほとんどの路線の終着駅はこのタイプ。パディントン駅、リバプール・ストリート駅、キングス・クロス駅、ヴィクトリア駅、ユーストン駅。鉄骨造でガラスで覆われた大空間。自然光が差し込み、多くの人が行き来する都市の玄関。そんな近代を代弁する鉄道網によった国土設計を欧米から学んだ昭和初期。

折りしも、「ごちそうさん」で主人公の恩師として、かなり強烈な個性を発揮している建築家・竹元先生。そのモデルとなったのが明治から昭和を駆け抜けた建築家・武田五一(たけだごいち)。彼が設計を担当した大阪市地下鉄御堂筋線の主要駅の数々。ドラマの中でも描かれる心斎橋駅が完成したのは1933年(昭和8年)。この出雲大社前駅とほぼ同時期ということになる。

鉄道という最先端の技術を輸入し、先進国へと変貌するなかで、同時に西洋建築の駅舎デザインを採用する時代背景。その当時の様子をそのまま今に残すのがこの駅舎。ドーム屋根や内部の幾何学模様のタイル、そしてステンドグラス風の窓などなど。

昭和初期、時代が求めたデザインを身をもって感じることができる貴重な空間を体験し、いつか必ず、近代を代表する都市空間である駅舎空間を設計したいものだと思い次の目的地へと向かうことにする。



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