2013年7月25日木曜日

三千院門跡(さんぜんいん) 782 ★★


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所在地 京都府京都市左京区大原来迎院町
別称 三千院門跡、梶井門跡
山号 魚山(ぎょざん)
宗派  天台宗
寺格  天台宗の三門跡寺院
創建  782
開基  最澄
機能  寺社
文化財 阿弥陀三尊坐像(国宝)
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百寺
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至極のフレーミングを堪能し、なんとか妻の機嫌も元に戻ったところで、京都洛北、大原と言えば見逃すことができない三千院門跡(さんぜんいん)を目指して坂を上る。途中、左手に勝林院を眺め、更に坂を進むと山の傾斜に沿うようにして階段が設置されその上に立派な門が待ち構える。

三千院門跡と呼ばれるだけに、ここもまた皇族貴族が入寺した寺院であり、宗派は奥の山の頂上に位置する延暦寺の天台宗。天台宗の寺格には、門跡寺、別格大寺、準別格大寺、別格寺、準別格寺、特別寺の6段階があり、やはり皇族が入られた門跡は上位に位置することになる。

皇族出身者が入った寺というのはやはりそうそうはなく、天台宗の門跡寺は、滋賀院門跡、妙法院門跡、三千院門跡、青蓮院門跡、曼殊院門跡、毘沙門堂門跡、日光輪王寺門跡、上野輪王寺門跡の8寺のみ。

その中でも特に力を誇ったのが三門跡と呼ばれこの三千院と妙法院、青漣院を加えたものであり、それに曼殊院と毘沙門堂を加え五ケ室と呼ばれるという。元々の由来は最澄が比叡山に建てた小堂に源を発していると伝えられ、1000年以上の歴史を有する古刹である。

大覚寺門跡しかりだが、やはり皇族が入られた寺院だけあって、境内は自然の傾斜を利用してなんともゆったりと伽藍が配置されている。そして何といっても特徴的なのはそれらの伽藍の間に位置するなんとも言えない苔のカーペット。何色と表現していいのか分からなくなるほど、厚く張った苔は日の光を反射して様々な表情を見せてくれる。

その苔の中から生えるようにしておかれているのが「苔地蔵」。わらべ地蔵とも言うらしいが、苔の海原の中からひょっこり顔を出したようななんともユーモラスな表情と、身体も顔も苔に覆われてしまっているその姿を見れば、自然に笑みがこぼれだす。

境内には二つの庭園が配されており、まずは宸殿(しんでん)の南側に位置する有清園(ゆうせいえん)。ここから苔の海原が始まるのだが、その海原に浮かぶのは往生極楽院(おうじょうごくらくいん)。

これは平安時代末期の12世紀に建てられた建物で、天井は船底天井(中央部を高くした天井)となっており、それは高さ2.3メートルの大きな阿弥陀三尊像(国宝)を安置する為である。「苔の海原にはやはり舟が必要か・・・」と一人で納得。

この阿弥陀三尊像。その大きさのせいで、外から見ると顔の部分が隠れて見えない。「そうだ 京都、行こう。」の有名な紅葉の中でのこの場の写真。あと数ヵ月後にはここも真っ赤に染まり、その中に大きな仏像が見えている姿を想像する。

もう一つの庭園は江戸時代の茶人金森宗和の修築で、サツキの刈込が美しい池泉鑑賞式の庭園である聚碧園(しゅうへきえん) 。こちらもやはり床一面を覆う苔の緑が目に眩しい。

天台三門跡と呼ばれるのがよく分かるほどの境内の広さ。じっくり紅葉でも見ながら回ったらそれこそ半日くらいかかってしまいそうなほどである。「これならば参拝料の700円も、まぁ納得だろうね」なんていいながら、平安の世の貴族の生活に思いを馳せる。


















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