2013年7月26日金曜日

詩仙堂(しせんどう)丈山寺 1641 ★★★


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所在地 京都府京都市左京区一乗寺門口町
山号  六六山
宗派  曹洞宗
創建  1641
開基  石川丈山
機能  寺社
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建築から見た美しい庭園の風景が印象的な京都の寺と言えば必ず上がるのがこの詩仙堂(しせんどう)。どうしても見逃すことが出来ないリストのトップに位置していたので、中心地から離れ北へと向かい、随分静かな集落に入ってきたなと思う頃に到着するその駐車場。駐車場代500円をしっかり徴収され、まずは坂の手前に位置する八大神社(はちだいじんじゃ)の境内へと向かう。

この神社は1294年の創建とされ、この地域である一乗寺の産土神として崇められてきたという。何といっても有名なのは、かの宮本武蔵が吉岡一門と決闘した「一乗寺下り松の戦」の前に八大神社に立ち寄ったことから、下り松の古木が境内に保存されている。本殿前には武蔵の銅像も置かれ、恐らく多くのファンが訪れているのだろうと想像する。

参拝を終えて参道を戻り、更に坂を下ったところにある詩仙堂へ。この寺は丈山寺といい、三河生まれで徳川家康に仕えた武士であり文人であった石川丈山が病気がちの母の看病の為に全国を転々とし、その母の死後、隠居の為に洛北に造営した山荘である。その為に丈山寺と呼ばれる。

では何で詩仙堂と呼ばれるかというと、文化に秀でた丈山だけに、中国歴代の詩人を36人選んで三十六詩仙とし、狩野探幽にその肖像を描かせて堂内2階の四方の小壁に9面ずつ掲げた為に詩仙堂と呼ばれるようになったという。

作庭にも秀でていたという丈山はこの一乗谷の傾斜地に自分の終の棲家となる建物と庭園を見事に配置させる。拝観料の500円を支払い中へ入ると、堂からは庭の綺麗に刈り込まれたサツキの姿が目に飛び込んでくる。400年も前の文化人が何を思い、何十年と言う自分の余生を過ごすべく棲家でどう自然と関わるかを考え抜いて作った庭だと思うと、なんだか感慨深くなるのもしょうがない。

庭に下りて回遊してみると、一般的にししおどしと呼ばれる水の力を利用して音を発生させる添水(そうず)が庭に置かれ、定期的に心地よい乾いた音を響かせる。元々は山からの鹿や猪の進入を防ぐという目的で作られたというが、「カーン」という竹の音はやはり自然の中に人工の音として聴覚を刺激する。

流石に個人の山荘ということで、今まで見てきた巨大禅寺の枯山水庭園とはまったく異なった趣であり、もちろんかけられた費用も桁違いだと想像する。訪れたときも二人の庭師さんが脚立を持って高いところの枝を落としているところで、比較的小規模のお寺がこれだけの庭園を維持管理していくのは相当大変なことだろうと勝手に想像を膨らませる。

そんなことを思いながらふと庭からお堂を振り返ると、軒先に高さを変えて吊らされている竹の樋が視界に入る。今まで訪れた寺院では恐らく目にすることが無かったこの意匠。急いで堂に戻り近づいてその詳細をじっくり観察する。

先程は気がつかなかったがどうもこの軒先。いろんな嗜好が凝らしてあるようで良く見てみると非常に面白い。やはり終の棲家として、静かなる額縁庭園を見ながら余生を過ごすよりも、生活の知恵がにじみ出た曖昧なフレーミングのほうがこの場所には合うんだと納得し境内を後にする。
























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