なんだかタランティーノとベルトリッチを足して2で割ったような、荒廃した社会の路地裏の雰囲気。
交錯する人間模様がつながっていき、そこに人がいるからこそ起こる悲しみや苦しみを抱えて、地球上のすべての場所、360度どこでも、人が生きる現実と、それでも生きる人々の姿だけでできている映画。
ウィーンので売春を生業としていく若い女性とその妹。ロンドンから出張でやって来て、商談がうまく行ったのでとその売春婦に予約を入れるビジネスマン。歯科助士のスタッフが好きで好きでたまらなくストーカーまでしてしまいながら、イスラムである自らのアイデンティティと既婚者である彼女の立場から悩むパリの男。お互いそれぞれのパートナーとの心の隙間を埋める為に、やめなければいけないと分かりつつも辞めれない関係を続けるロンドンの男女。不安を抱えながらも社会に戻されていくことになるコロラドの刑務所の服役囚。パートナーの浮気の為に地球の反対側のブラジルに帰る女。飛行機でその隣に座った、かつて行方不明になった自らの娘を探す為に、身元不明な同年代の女性の遺体が発見されると現地まで確認に向かう老人、雪の為に足止めされたデンバーの空港で出会う二人・・・
これだけ多くの人が頻繁に移動しあう現代社会。すれ違った人たちがまた移動した先で出遭った人達が、また移動した先で出会う人たち。その人たちの動きを重ねると、あっと今に地球が覆われてしまう。そんなイメージの決して明るい気分になる訳でもなく、何かしらの問題提示をするでもない、たんたんとした現実を描く映画。
なるほど、これではなかなか日本の映画マーケットでは受け要る余地がなく、上映予定が無いわけだとなんだか納得。
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Director: Fernando Meirelles
Writer: Peter Morgan
Stars: Rachel Weisz, Jude Law
, Anthony Hopkins
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