その昔イギリスでは、学業を修了した時に更に学識を広げるために当時の最先端の都市を目指しての旅行が行われた。イニゴー・ジョーンズもジョン・ソーンももちろん目指したのは、建築の都;ローマ。
修学旅行のハシリかと勘違いされそうだが、決して受験者増大を見込んだ客寄せパンダとしての国外旅行や、御伽の国にいってネズミと一緒に写真をとったりはしてなかったちゃんと目的を持った旅行である。
国の将来を担うエリート達が、奨学金やパトロンからの援助などで、何ヶ月もかけて学んだことを実学へ昇華させるための大切な時間だ。
建築家の人生にはそんな「グランドツアー」が必要な時期が何度かある。
一年に及ぶ結婚関連のイベントの最後を締めくくるべく、
「我々は甘い蜜を味わうほど人生で何も達成しておらず、これからの二人の人生の為に見識を広げるグランドツアーに出る必要があるんだ」
と、妻の説得に当たるが、やや長い時間とロンドンの時の友人を訪ね歩くというサブ・コンセプトを付加して方向性の了承を得る。
ロンドンで現代を
北欧で近代を
フィレンツェでルネサンスを
ローマで古代ローマを
ギリシャで古代ギリシャを
建築史を駆け足で遡り、それがこれから向かう先の道しるべになることを期待してグランドツアーの出発。
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