2011年2月1日火曜日

「梟の城」 司馬遼太郎 ★★



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建築を職にするものにとって「聚楽」とは、できれば選択したい和室壁の仕上げ。秀吉の築いた聚楽第跡地で取れる土を使うためにそう呼ばれるが、今はなきその聚楽第が歴史の中で数多くの舞台を演じさせてきたのだろうが、その主役の一人である風間五平。

信長、秀吉、家康と天下の首領が変わるにつれて同じように変化していった戦国時代。表ではできない仕事を実行するものとしての忍びは主人に仕えるものである以上、天下という最大事を目指す主人達の力関係を反映しながら、忍びの世界の勢力図も日に日に変化する。

商の世界も同じ様に、信長がその代名詞でもある鉄砲を依頼したのが宗久であれば、信長はまた別の商人を優遇する。栄枯盛衰が恐ろしいほど短いスパンで入れ替わり、誰が最後の椅子を取り合うのか。

本能寺の変で堺から消えた家康の姿が伊賀地侍に守られ峠を越え、その間にも関白、太閤とこの世を階位を駆け上がり、年老いてもうけたその世子・鶴松が鬼籍に入ったことで急速に狂い始める秀吉。世間を翻弄する権力者の愚行に耐えかね、どれだけの人間が殺してやりたいと願っただろうか。

そして忍び込んだ伏見城の天守閣。寝息を立てる布団の中に見たのは、年老いて痩せこけたどこにでもいるただの老人。その姿が五平の目にどう映ったか。

第42回 直木三十五賞受賞の司馬遼太郎らしい一冊。
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第42回 直木三十五賞
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