2021年10月27日水曜日

Red House レッド・ハウス_Philip Webb フィリップ・ウェッブ_ 1859 ★★★

 

Philip Webb(フィリップ・ウェッブ)
 
2018年の夏。ロンドンから西へ車を走らせ、グリニッジを超えて暫くすると到着する郊外。その南のケント地方の雰囲気漂う緑豊かな住宅地区を走る一本の道の名前はレッドハウス・レーン。アーツ・アンド・クラフツ運動を指導したウィリアム・モリス(William Morris)が住んだこのRed House(レッド・ハウス)の名前が付けられた道である。
 
事前に聞いていたいた場所に車を停め、塀の門を潜ると、外からは想像できないほど豊かな自然が広がる。ツアーの申し込みの為に、敷地北西に位置するオフィスで登録をすまし、 ツアー開始時間までガーデンに咲くローズマリー などの様々な花々の匂いを楽しむ。
 
暫くしてツアーを率いてくれるイギリス人のガイドさんが出てきて、モリスがこの地を選んだ理由や、設計をした フィリップ・ウェッブ (Philip Webb)との関係。アーツ・アンド・クラフツ運動の主要な人物たちがこの家に集まって様々な議論が行われたことなどを説明してくれる。
 
建物の中に入っても、ネオ・ゴシック調の階段のディテールや、ステンド・グラス越しに入り込む光など 、シンプルであるけどとても暖かい雰囲気に包まれた内部空間を見学する。それにしても、 フィリップ・ウェッブウィリアム・モリスも1830年代前半の生まれであるから、このレッド・ハウスを設計した当時は、まだ20代中頃ということになる。情熱をもって集った仲間であーだこーだと議論しながら、その中でできたのがこのレッドハウスだと思うと、若い情熱を形に残すことができた彼らがとても羨ましく思うと同時に、これほど豊かな外部空間を持ち、プライバシーの問題も考えずに、どう光を取り込み、何を内部から眺めるかと率直に設計ができた時代ががまた羨ましく思う。
 
ツアーを終えて、建物脇にあるカフェで冷たいコーヒーで身体を冷やし、そして建物を取り囲むガーデンを散策しながら、特徴的な屋根をもつ赤い家の周りを歩いて見学を終える。
 
 

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