2021年10月20日水曜日

Lunuganga ルヌガンガ_Geoffrey Bawa ジェフリー・バワ_1947-1998 ★★★★

Geoffrey Bawa ジェフリー・バワ

都市の自邸がNumber 11であり、
その対となる自然の中の自邸がこのルヌガンガ(Lunuganga)。
 
平日は都市で、週末を自然の中で。
愛車のロールスロイスを飛ばしながら、到着後の時間を想う。
そんな行き来がバワの生涯のルーティーンであった。
 
都市の喧騒の中に戻る活力を取り戻す場所として、バワが理想郷を長い年月をかけて作り上げていったルヌガンガ。建物一つ一つというよりも、まずは環境を見つけ出し、その環境の中でもっとも調和した関係性を作り出す場に建築を添えていく。そして何よりも、環境自体を少しづつ整えていき、環境の中に散らばるいくつもの空間を作り上げていく。 
 
そこから見える夕陽や、水面に反射する朝日の姿を観察しながら、それを眺めるにはどの場所が最適かと考えながら敷地の中を歩きながら生活をし、少しづつ風景の中に空間を埋め込んでいく。その度に、座りくつろぐ椅子とテーブルが設置され、その脇には午後のお茶や夕方のジントニックを頼むための鐘が吊るされる。敷地の中に散りばめられた場の数だけ、音色の異なる鐘が選ばれ、ルヌガンガで働くメイドたちはその音によって、バワが今どこに要るか、そして用意するべきドリンクの種類を見極めたという。
 
室内も室外もなく、ただ敷地の中を歩くなかで感じる心地よさにそっと添えるようにしておかれる場は、そこにあるのが当たり前のような顔をして風景の一部としてなじんでいる。段差をただの階段として処理するのではなく、その途中に少し休むベンチを設置する。湿地の真ん中を通る通路を、軸線の終点としての役割に変換する。毎週、毎月、毎年。少しづつ手を加えて、少しづつ、自らの心地よさを感じる場所を空間としていく。終わることなき理想郷。緑の中で、土にまみれながらレンガを置いて、タイルを敷き詰め、徐々に場所かしていくことが、内部と外部をシームレスに包みながらも、この場所でしか味わえない唯一無二の場所へと昇華していくこの上ないバワの楽しみだってのであろうと想像する。
 
建築が地形の一部になるように分散し、それでいて、彫刻や階段が人の手の痕跡を示す手がかりとなって、全体として一つの意思を感じさせる場所へと統一されている。ルヌガンガで試した自然との一体化が、どのようにしてNumber11にて都市の中で実現されたのか。それを感じるように、風景の中の場を巡ったバワの足跡を辿ってみる。






















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Day2


































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