2016年2月23日火曜日

「日本人はなぜ美しいのか」 枡野俊明 2014 ★



海外でもその庭園作品が知られ、随分とさまざまな場所で講演に呼ばれたり、作品を手がけていることで、建築に関わる人間であれば、禅僧というよりは、ランドスケープデザイナー、作庭家として認識している著者。いつか一緒にプロジェクトに関わることができたら良いなと思っている一人でもある。

そんな著者の名前を本屋で見かけ、「これは手にとっておかないと」と購入した一冊。京都などでよく見ることができる枯山水と呼ばれる庭園は、室町時代の禅宗寺院で発展された世界観であり、そのために禅僧であり、かつ作庭も手がける著者が何を語っているのかぜひ知ることができればと期待した一冊。

「日本人の美しさとは、しなやかな強さである」という著者。具体的な作庭への思想や方法論がかかれているかと思ったが、どちらかというと「日本人がどれだけ巣晴らしか」ということが主なトピックを占めているので、「あれ?」と思い調べてみると、驚くほどの著書を出版している著者・・・

個人のクライアントへの庭園プロジェクトが多いようであるが、一度ぜひその作品を実際に体験してみたいものである。

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■目次  
はじめに-「禅の庭」から見える、日本の美

第1章 外国から見たときの、日本の圧倒的な美しさとは
/なぜ私の仕事が海外から求められるのか
/スティーブ・ジョブズも、ビル・ゲイツも、禅に傾倒していた 
/贅沢と真反対の「禅」こそが、心の癒し
/西洋人の日本文化への憧れの根源とは
/「禅」と日本文化の密接な関係
/禅文化が花開いたのは、中国ではなく、日本だった
/西洋が好むのは完全な美、日本が好むのは不完全なる美
/移ろうのか、壊れるのか
/墨絵と油絵ー’その瞬間’を描くのはどっち?
/墨一色で、世界は無限に広がる
/いけばなとフラワーアレンジメント。何故ここまで違うのか?
/自我を形にする西洋の庭、無我をかたちにする「禅の庭」
/枯山水とは何か
/’自然を借りる’という、庭園の発想
/日本家屋の、理にかなった美しさ
/光と風を読みきった日本家屋ー京都の町家に見る
/日本家屋は「狭い」からこそ、凄い
/「椅座」ではなく、「床座」の文化が思索を深めた

第2章 まわりにある日本の美を再確認すべし
/食のシーンは、四季を感じるのにベスト
/食材の「添え物」には、日本人の知恵が詰まっている 
/四季に応じて、住いに季節を取り入れる
/企業は日本の美しさに目をむけよ
/禅の思想に最先端の技術を載せた・・・アップルにしてやられた!
/一品にこだわるがゆえに生まれる美
/日本人は繊細である
/味覚の鋭さも、日本人ならでは
/見えないところはど手を抜かない
/家事を機械まかせで、その間ダラダラする時間は美しくない

第3章 「禅の美」とは何か
/京都の庭はなぜ美しいのか
/日本の庭は「おもてなしの心」からできている
/「禅画とは、禅僧が描くもののこと」はまちがい
/禅文化の歴史と変遷に、「武士」の存在あり
/禅の美しさとは①-均斉がとれたときは、「終わり」である
/禅の美しさとは②-簡素であるからこそ、豊か
/禅の美しさとは③-「悟っている」自分に酔う人は美しくない。「枯高」を目指す
/禅の美しさとは④-たくまない。あるべきように。自然に
/禅の美しさとは⑤-「間」や「余白の空間」がなければ、日本の美は完成しない
/禅の美しさとは⑥-こだわらず、自由な心で生きる
/禅の美しさとは⑦-騒音や情報が消える、「静かな心」を持つ瞬間を得る
/日本人は美しい’遺伝子’を持っている
/美しさに理由を探しても意味がないー龍安寺石庭が教えてくれること
/「禅の庭」の正しい見方とは?
/’最高の贅沢’とは、何も持たないこと!?
/時代の流れや変化を取り入れてこそ、’本質’は守られていく

第4章 日本人の「心」とは
/日本人は、死後に「無形のもの」を受け継いできた
/古きよき風景を、子どもや孫に語り伝える。それだけでも日本の力になる
/茶の湯にみる「おもてなしの心」
/利休の発明
/和菓子や伝統工芸品にあらわれる、日本人の繊細な美意識
/日本人の「おもてなし」は、「無私の実践」である
/’白黒つけない’という美学
/「お蔭様」「お天道様」という言葉を見直すと気づくこと
/真摯さ、精密さ、正確さとともに「融通」が利くのが、日本人の美
/かつて日本人は、「質素」が心を満たしてくれることを知っていた
/四季の変化は日本最高の宝
/「月を愛でる」日本人の完成の豊かさ
/禅では「月は悟り」
/水の様に生きる
/無言の所作にこもるおもてなしの心

おわりにー日本人の美しさとは、しなやかな強さである
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