2015年12月5日土曜日

「十五才 学校IV」 山田洋次 2000 ★★★

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スタッフ
監督 山田洋次
脚本 山田洋次
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川島大介(中学三年生):金井勇太
大庭すみれ(長距離トラックのドライバー):麻実れい
佐々木康(大型トラックの運転手):赤井英和
畑鉄男(ひとり暮らしの老人・バイカルの鉄):丹波哲郎
川島秀雄(父):小林稔侍
川島彩子(母):秋野暢子
金井真知子(共に縄文杉を目指す):高田聖子
薬屋のおかみ:余貴美子
畑満男:前田吟
児玉(小型トラックの運転手):笹野高史
大角:蛭子能収
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山田洋次監督の代表作の一つ。15歳という大人と子供の狭間で揺れる心、「思春期」という言葉で纏められてしまうのに抗うかのような繊細な気持ち。家庭と学校という場所において、自分の居場所を上手く見つけられない15歳にとっては、そこからどんな形であれ飛び出すことが、とてつもなく大きな成長を促してくれることもある。そんな15歳の夏の冒険を描いた作品。

学校に行くことのできなくなった中学三年生の主人公。家では厳しい父親が、父親とうい立場からの見方と言葉でしかコミュニケーションを取ってくれず、どうしても周囲と同調しなければいけないことに対して違和感を理解してもらうことが出来ない。

そんな彼が起こした行動は、縄文杉を見に行くためにヒッチハイクで鹿児島まで向かうこと。

その道中で中学生だと分かりながらも、優しく接してくれる様々な人たち。今までの日常では決して出会うことの無かった大人であり、同時に自分の視線まで下りて来てくれて、自分の気持ちを理解しようとしてくれる人たち。

女性長距離ドライバーに九州の彼女の家まで乗せてもらい、数日家にてお世話になることに。その中で、明るい彼女の娘や、引きこもりの長男との交流を重ねていく。異邦人としての彼は、彼女の家にとっても日常に無い刺激となり、それぞれの関係性が少しだけ変化していく。

家族ともほとんど口をきくことのなくなっていた長男が、彼には様々なことを話し、そして「詩」という形で自らが思っている気持ちを書き綴る。それを知った母親は、「来てくれてありがとね」と、家族の形を少しだけ変えてくれたことに感謝して泣き崩れる。

これだけでも既に十分な物語であるが、とりあえず家を出る為の口実としていた縄文杉を見に行くことを引っ込めることも出来ず、なんとか到着した屋久島。せっかくだからと縄文杉を目指すと、一緒になった若い女性と共に先を進むことになる。

同じ目的は人を繋げるのだと言わんばかりに、長い行程のなか様々なことを語りながら徐々に距離を近づけていく二人。誰にでもあった15歳の頃を彼の姿に重ねながら、一つ一つ丁寧に言葉を語る姿は、中学生の彼にはきっととてつもなく大人に感じることだろう。その彼女が彼に残したのは「一人前になること」。

そして辿りついた縄文杉。それでも物語りは続き、今度は屋久島で一人暮らしをする老人と出会い、居候をすることに。老いを迎えた老人の哀愁と、彼にもまた家族という問題があることを目の辺りにし、様々な人との出会いを繰り返した旅を終えるために東京へと戻ることに。

そこに待ち受けるのは自分が拒否して飛び出してきた家庭。やっと向きあうことができるようになった父親。そしてその父もまた息子の変化を感じ取る。そして一回り大きくなった彼は自ら学校へと足を向けることになる。

外からでは決して知ることの出来ない彼の中で起きた大きな物語と冒険。それは同時に旅の途中で出会った様々な大人たちも彼を通して、日常の中に何かの変化を受け取り、そして感謝していく。人は誰かと出会うことで少しづつ人生をカラフルにしていくのだと強いメッセージを送ってくれる一作である。
















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