2015年10月7日水曜日

すみだトリフォニーホール 日建設計 1997 ★★


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所在地  東京都墨田区錦糸1-2-3
設計   日建設計
音響設計 永田音響設計
竣工   1997
機能   コンサートホール(大ホール:1,801席、小ホール:252席)
規模   地上9階・地下3階
敷地面積 18100 平方メートル
建築面積 3600 平方メートル
延床面積 20066 平方メートル
構造   SRC造(一部S造)
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コンサートホールを理解するにはやはりその場にて実際にコンサートを聴いて、音の聞こえ方を身体にて理解すること、そしてその体験を積み重ね、いろんなコンサートホールにて比較すること。それが身体の中に滓が溜まるかのように蓄積していく先に、身体の一部として熟成された経験というものが設計の下地となる。

そういう訳で今回の視察の目的地の一つであるのがこの「すみだトリフォニーホール」。錦糸町の駅から西に歩くとすぐにエレベーターに導かれた2階部分へあがるとそこがホールのエントランスとなっている。

駅近くの密集地で、しかも東西に長い敷地という条件の下、搬入口と公共エントランスを上下にて分かちつつ、どうしても奥行きを持ってしまうコンサート・ホールという平面計画の性質とどうすれば一番合理的な動線計画になるだろうかと苦悩した後が見受けられる。

その結果、公共エントランスをホールに対して正面からではなく、横からというかなりイレギュラーな方式を採用することによって、その他の様々な点がより合理的に解けたのだろうと推測する。

コンサート・ホールにとって重要な要素の一つはやはりその音響。その音響にとって天敵となるのは、外部からの騒音と振動。その観点から見るとこのすみだは横にJRの線路が走り、世界でもおそらく上位に入るであろう頻度で電車が行き来するコンサート・ホールとしては最悪の場所が敷地として選ばれている。

数分ごとに訪れる騒音と振動の波。それからホールをどう隔絶させるか?それでいながら、地上面から訪れる2000人に近い人々の波をどうスムーズにロビーからホールへと流すか。そしてオーケストラや様々な楽器が運び込まれる搬入口からバック・ステージの空間と動線をこの細長い敷地にてどう処理するか。そして、この細長い敷地においてほかにはそれほど選択肢が無く選ばれたであろうシュー・ボックス型のホール配置において、如何に各席の音響と舞台への視線を確保していくか。

そんな設計に関わった多くの人たちの苦難がひしひしと見て取れるホール。特に2階のサイドのテラス席にその陰が色濃く落ちているようである。

特徴的な細長いエントランスで友人を待っていたり、関係者と挨拶を交わす人々の姿を見ていると、もうすぐ20周年を迎えるこのホールも、しっかりとこの地で東京の音楽文化を支える一つの場として、すっかり人々に受け入れられており、使われ続けているのだとコンサート・ホールの作られた「その後」の姿に思いを馳せて建物を後にする。







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