2015年5月2日土曜日

ひたすら繰返される締切

アメリカで進めている美術館のプロジェクト。大きな建築プロジェクトではプロジェクト・マネージメントが非常に厳しくスケジュールを管理するアメリカ方式にそって、基本設計の締切が近づいている。

その為に毎日毎日、多くの締切がのしかかって来る。建築という仕事の性質柄、図面を描き始めるまでの調整作業は恐ろしいほどの手間と時間を奪っていく。クライアント側の要望、現地組織事務所との調整、ランドスケープとの調整、構造、設備、消防、行政、周辺施設、交通、雨や雪対策、安全、管理、等々。

そしてそれらの調整を踏まえた上で平面図、断面図等々の図面の調整と、3次元模型の修正となり、議論された部分すべてのポイントに対してその意図を反映した図面の変更が行われているかどうかのチェックをすることとなる。

何人もがそれぞれの担当パートの図面を描き、それぞれに相違の無いように綿密な内部でのコミュニケーションを図り、各自が主観的に理解した修正内容を図面という客観的なメディアに反映する作業で発生する認識の齟齬を潰していき、内部にて意思統一のできた図面に仕上げるためにはそれだけでもものすごい時間と労力が必要となる。そしてその為に最も必要なのは繰返すチェック作業。

それを各協力会社に送り、今度は外部との齟齬をなくしていく作業。もちろんその調整作業の中で、前日決めた内容が変更になるなんてことはざらであり、何の惜しげもなく再度の修正が必要となる。先ずは修正をしない限りこの更なる問題点は浮かび上がってこず、その為に無駄をなくすために図面の修正を減らすことはどうしてもできないという訳である。

そんな訳で、CD、SD、DDと呼ばれる各設計ステージ毎にどうしても避けられないこの永遠に続くと思われる修正の繰り返し、チェックの繰り返しの時期が訪れる。体力も疲弊し、精神も磨耗するこの期間。必要なのは一つのミスも見逃さない注意深さ。できるだけ心を落ち着かせ、嵐が去るのを待つように日常を過ごすようにと心がける。

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