2015年3月6日金曜日

ヴァイセンホーフ・ジードルンク(Weissenhofsiedlung, Weissenhof Estate) Le Corbusier Mies van der Rohe 1927 ★★★


夜の飛行機までの時間を使って、このシュツットガルトにある建築をできるだけ見て回ろうということで、事前に調べていた住所をナビに入れて車で向かうことにする。

大学の建築の授業でも習うのが近代建築を作り出した後の巨匠であるミースやコルビュジェ、グロピウスらが勢ぞろいした建築展、ヴァイセンホーフ・ジードルンク(Weissenhofsiedlung, Weissenhof Estate) の存在。

第一次大戦を終えて、新しい規格化された良質な住居建築を考えるために、当時ヨーロッパで活躍していた若き建築家たちを集めて、共通のテーマのもとに住宅を設計して実際に建てるという壮大な目論見を持った展覧会。

その取り仕切りを行ったのが、ドイツ出身のミース・ファン・デル・ローエ(Mies van der Rohe)。彼が選らび、参加することになった建築家は、ル・コルビュジエ(Le Corbusier)、ハンス・シャロウン(Hans Scharoun)、ヴァルター・グロピウス(Walter Gropius)、J.J.P.アウト(Jacobus Johannes Pieter Oud)などの当時の若手建築家。

シュツットガルトの街の北西の小高い岡の上の風が吹きぬけ景色が開けるなんとも贅沢な敷地に、これまたゆったりと燐棟感覚を保って計画されたそれぞれの建物は、いくつかが失われたり新たな建物とされているが、それでも現在も多くが現役の住宅として使われているのはさすがに驚くばかりである。

簡易な立面、テラスとして使える陸屋根、水平窓、自由な平面そしてプレファブ化。これらが共通して与えられたテーマだといい、それをはほぼ前年にコルビュジェが出した「近代建築の五原則」を踏襲したものとなっている。

そんな訳でということではないだろうが、コルビュジェの建物は現在も非常に良い状態で残されており、このヴァイセンホーフ・ジードルンクを紹介する美術館として一般に開放されている。

日の暮れかけたシュツットガルトの街からうねる坂道を上がってきて、一気に視界が開けたなと思ったらいきなり目の前に飛び込んでくるのがこのコルビュジェ棟。新しい時代の幕開けを高々と宣言するようにスクッと凛々しく建っているように見える。

これがおよそ90年前に建てられた建物かと思うと、我々現代の建築家はデザインといって何をしているのだろうと反省させられるほど、その大きな構成だけでなく、細部のディテールも非常に細かく設計がされているのがみてとれる。

こうしてみると、時代と共に変わるべき場所と、そうではなく時代や社会に関わらず人が住まう場所としてあるべき機能とそのデザインは間違いなくあり、その線引きを明確に捉えて新しい建築へと挑戦していくことが大切なのだと思いながら、濃密な内部空間を体験することにする。





















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