2015年3月5日木曜日

BMWワールド (BMW World) コープ・ヒンメルブラウ(Coop Himmelb(l)au) 2007 ★


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所在地  ミュンヘン、ドイツ
設計   コープ・ヒンメルブラウ(Coop Himmelb(l)au)
竣工   2007
機能   博物館
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今日は朝から、今回このミュンヘンに来た主な理由でもあるBMW関連の建物を訪れる。まずは隣国オーストリアを拠点に自分が学生時代から常に世界のトップで設計を展開する世界的建築事務所コープ・ヒンメルブラウ(Coop Himmelb(l)au)の手がけたBMWワールド (BMWウェルト,BMW World,BMW Welt)。

まずはコープ・ヒンメルブラウ(Coop Himmelb(l)au)について。なんだかUFOみたいな雰囲気の未来的な名前だが、誰かの名前という訳ではなく、Himmelb(l)auがドイツ語で「青い空」を意味し、ヴォルフ・プリックス(Wolf Prix)とヘルムート・シュヴィツィンスキー(Helmut Swiczinsky)らによって設立された建築事務所の名称ということ。今はヴォルフ・プリックスを中心にして世界中に支部を持ちながら展開している事務所である。

二人ともロンドンのAAスクール出身ということもあり、非常にコンセプチュアルな作品を手がけながら、建築の可能性を広げる活動をしつつ、ザハ・ハディドやフランク・ゲーリーと共に、1980年代後半から注目を浴びたデコンストラクション(脱構築主義,Deconstructivism)の旗手として名が上げられ、そのメンバーが現在世界中で作品を展開するのと同じようにして、世界のスターキテクトの一人としてトップに20年以上も君臨する事務所の一つである。

かつでAAスクールにて建築を学んでいる折に、夏の休みにあわせて彼らの拠点とするオーストリアのウィーンに足を運び、古い街並みのある路地の上空に浮かぶ彼らの代表作を見に行ったのを今でも鮮明に思い出す。

そんな彼らがBMWの為に設計をしたのは、BMWワールドと言われる、BMWにとってそのブランド・イメージを強化させるための総合パビリオンという位置付けの建物。それは顧客が新しい車の詩情をできる場所でもあり、納品のための引渡し場所でもあり、全てのシリーズを見ることができるショー・ルームでもあり、コンセプト・カーを見ることのできる美術館でもあり、購入後の顧客のアフターサービスを行う場所であるという、BMWにとってのブランディングの重要拠点として企画され、運用されている場所である。

道路をまたいだすぐ隣にはBMW博物館もあり、BMWの企業の歴史などはそちらの建物で詳しくしることができ、それに対してこちらではBMWの現在市場に出ている、もしくは今後市場に出てくるであろう実際の車にフォーカスを当てている場所と言っていいであろう。

呼び名が混乱しがちであるが、ワールド(World)のドイツ語がウェルト(Welt)ということで、英語とドイツ語での表記がごっちゃになって紹介されていることが多いが、要するにBMWの世界観を知れる場所であるということである。

BMWのガイドの方についてもらって建物を説明してもらうのだが、やはり「雲」を意識し、構造も何本かの柱によって高く持ち上げられ、天井で持たせることにより、内部に開放感のある空間を作っているという。これは車の試乗を行う機能面と、車というスケールをもった商品を開放的に行うという意図がある。

流れるような三次曲面で内外部が構成されているが、外部に関しては曲面が三角形のパネルに還元されて構成されているために、遠くから見ると曲面に見えるが、近くによるとその幾何学の変換による無理が感じられ、まさにスムースな曲面を持つ建築を現在進行形で進めている我々としても、この建物から10年の時を経てこの世に生み出される建築としてどのようなことを考え、気をつけていかなければいけないのかをじっくりと観察する。

内部に関しては、比較的緩やかな曲面にところどころビュー・ポイントとして歪んだ曲面が登場する。こちらは外と違って矩形の金属パネルで作られているのだが、その設置方法のせいか、それとも照明の影響か、どうも真ん中が飛び出してしまっているように見えてしまう。そして何よりも、そのビューポイントには内部に危険防止の為に垂直にまた別のガラスの手摺が設置されており、形態と機能の隔離が感じられてしまい残念である。

地下に降りていくと、この建物が車の搬入から納品準備、そして顧客の手に渡るまでどのような手順で車を送り届けているのかスクリーンによる講義をしてくれる。その後、スクリーンが上に上がると、その後ろにまさに今説明を受けていた車の倉庫スペースを見下ろすことができる。これはなかなか臨場感のある仕組みである。

一通り納品までこの建物がどうやって顧客と関わるかを体験させてもらい、外もぐるりと回りやはりこれだけ複雑な建物にもかかわらず、どこかで破綻をきたすことなく綺麗に納めているあたり、やはりドイツだなと思いながら、次のBMW博物館へと移動する。

































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