2014年12月17日水曜日

ドバイ・モール Dubai Mall 2008 ★


今のドバイの中心である、ダウンタウンの中心に位置する世界一高い高層ビルであるブルジュ・ハリファ Burj Khalifa。そしてその足元に広がるのは、これまた世界一の規模を持つという商業施設である、ドバイ・モール(Dubai Mall)。

総面積は110万平米。屋内フロアは55万平米。そんな数字を並べられても建築関係以外の人ではピンと来ないであろうから比較の為に「東京ソラマチ」の商業面積はいくらかというと、およそ5万平米。森美術館などは7000平米ちょっとと言うから、いかにこのモールの規模が身体スケールを超越しているかが理解できる。

内部はショップのほかにも、水族館やスケートリンク、映画館、セガのゲームセンターなどが入り、とにかくここにくれば一日他に行かなくても良いように、欲望を喚起し消費を刺激しようとするなんともさもしい空間が広がる。

アラブの市場であるスークを再現したエリアがあったり、ロンドンのストリートを模したエリアがあったりと、まさにディズニーランダゼーションの空間である。ポチョムキンの書割空間のさらに先を行き、ユニバーサル・スペースとして世界中のどこのモールでも見られる有名ブランドが、それぞれの標準仕様のデザインで後を並べ、その先にアトラクションとしてディズニーランダゼーションが被せられる。この土地の気候も文化の空間体験も何も関係なく、ただただ消費へと人々を導く閑散とした空間が広がる。

「何もここに来なくてもこれらは買えるじゃないか。」

と思ってしまうのは、ショッピング・モールと言う建築タイポロジーの本質が「世界のどこでも同じものを手に入るようにする」というコンセプトなので、まったくナンセンスな疑問であり、と同時に、地方に引きこもり、車ベースのライフスタイルに適合したイオンモールで消費を満足させるマイルド・ヤンキー達が一番正しいのではと言う錯綜した答えをもたらすことになる。

「グローバリゼーションがもたらすのはこれほどまでに場所と乖離した寒々とした風景なのか」と肩を落としながらも、それでもこれを心地よいと思わず、それでもグローバリゼーション後の世界だからこそ実現することができる新たなる地域と文化を体現する建築空間が必ず現れるのだろうと信じて次の目的地へと足を向けることにする。





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