2014年5月1日木曜日

クローズアップ現代 「極点社会~新たな人口減少クライシス~」

久々にゾッとするクローズアップ現代。やはりネットでもかなり話題になっているようであるが、一体何処に向かってしまうのかこの国の未来は・・・

縮小社会が叫ばれて久しい現代日本。地方では限界集落と呼ばれる高齢者だけが取り残された自立できない集落が大量に発生しているなか、この特集では更にその先を描き出す。

極点社会

今のところ日本の地方を支えているのは高齢者の経済力。それは実際に労働の対価として稼ぎ出す報酬ではなく、長年積み立ててきた年金。その年金を便りとして回っている多くの地方自治体。

これが一部での現象で、他の地方では若者が増加し、全体としてバランスが取れているならまだしも、現在の日本を襲うのは全体的な人口減少。そして地方を襲うのは若者だけでなく今や老人すら減ってきているという事実。

高齢者の年金で成立していた地方経済が縮小し、今までなんとか成立していた雇用の場が失われ、就職もできず、結婚も出来ない若年女性が増加する。彼女らの受け皿となるのは、東京などの数少ない勝ち組の大都市への流出。

一度彼女らが流出すると、残された地方は、限界集落を越えてただ消滅を待つだけの崩壊集落へと変容していく。いくら一度流出していった彼女達が何年後かに田舎に戻ろうと思っても、その時にかつての田舎の姿はもうそこには無い。また彼女達が戻ってこようと思えるような職・住環境もまた地方には用意されていない。

更に恐ろしいのは地方自治体が自らが首都圏で運営するケアハウスで働く人材を地元で採用し、そのまま首都圏に送り込むことによって、更に地元から若い女性の数が減っていくという負のループ。若い女性が減れば、子供を産む人も減り、必然的にその地域は消滅していくのみである。

縮小社会に入った国家の避けられない一現象であるのは間違いない。しかし問題なのは、現在の日本においては、機会や報酬など全てをとっても数少ない大都市の一人勝ちの状況になってしまっているということ。

国全体が同時に縮小するのではなく、全体が縮小する前に、崩壊していく地方から更に未来の可能性である若者を吸い上げる大都市がいて、それが地方の疲弊を加速させる。

都市に出てきた女性が、求める結婚相手を見つけるのにどれくらいの時間がかかるのか、激しい競争の中で十分な環境で子供を育てることができるのか。都市には都市の問題がある。

人が住まなくなった空家。しかしそれを取り壊して更地にすると更に税金を取られることになる。そんな時代錯誤のシステムが蔓延る中、事態は既に深刻な状況にと陥っている。

一時期待ち状態が何ヶ月にもなっているといわれたケアハウス。それも既に空き室が出てきているという。稼働率が低下することで、利益が無くなっていく。そうなると無駄な価格上昇で更に一般消費者を苦しめることになるのなら、行政の適正な判断で統廃合を繰り返し、適正価格へと持っていくのが妥当な線であろう。

ここで描かれているのはまさに巷に溢れる様々な縮小社会関連の書籍に書かれていることそのもの。マイルドヤンキーという地元に住み着いた若者がまだいる地方は良いということで、そんな彼らからも拒否をされた地方都市は今後更に崩壊社会へと突き進むであろう。

恐らく今後の20年。日本中の地方で見るも辛い本当の意味での都市間格差が明らかになってくるだろう。それはそこに住まう人がいいとか悪いとかの問題ではなく、都市として生き延びることが出来なかった、都市として今後を生きる若者を惹きつけることが出来なかった、つまりはそんな都市として放置してしまった行政の問題でしかないのだろうが、そうして誰に知られることも無くひっそりと消滅していく様々な都市があるはずである。

その消えていった都市を見過ごすのではなく、21世紀の日本の地方の風景を本気になって考えて、現実味のある街づくりへと着手していくことがこの時代に残された我々の役割なのだと思わずにいられない。

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