2014年4月17日木曜日

スーパー銭湯が娯楽の日常

幸いなことに、今回のプロジェクトは地元の小学校・中学校の同級生がクライアントであることから、打ち合わせで日本に帰るたびに実家に泊まり両親の顔を見ることが出来る。

田舎であるから一日の仕事の部分が終わるのはかなり早く、夕食を終えると風呂好きの父親が、「久々に銭湯でも行かないか?」と誘ってくる。

手ぬぐいと着替えを持って車で向かうスーパー銭湯は建物の数倍の駐車場が完備されているにも関わらず、ほぼ埋まっている。平日の夜だというのにも関わらず。

こういう風景が地方都市の当たり前の日常風景として溶け込んでしまっていることに気がつかされる。モータリゼーションと「気持ちがいい」という身体への娯楽が掛け合わされることによって生まれた風景。

家族揃って夜に行くところ。以前は家族揃って外食だったのが、今では家で食事をとって、その後スーパー銭湯に出かける。外食ならば一人2000円だと考えると、家で食事をとり、一人700円ほどのスーパー銭湯ならある種お得と言う計算になってしまう。

本来ならスーパー銭湯に700円という単体だけで考えたら、「高いな」と感じる人も要るかもしれないが、それが気持ちいいこと、健康に良さそうなこと、そしてこうした外食産業をライバルとした家計の計算を考慮すると「あり」になってくる現代社会。

恐らく現在、日本全国、何処にいっても見られる風景であるだろう。コンビニ同様、恐らくかなり正確なマーケティングの条件を満たした地方都市。年齢構成や年収分布、子供のいる家庭の数などかなりの要素を組み合わせた中でここなら客は来ると判断を下されまた増えるスーパー銭湯の風景。

それはロードサイドを埋め尽くすファスト風土や街中に散らばるコンビニ同様、その土地の場所性などはまったく関係を持たない建築タイポロジーであることは間違いない。スーパー銭湯という記号を纏った建築物がこれから更に日本の多くの場所で増えていく。

風呂というある種日本人にとって特別な場所であるだけに、どうにか現状の様なチェーン店の様な空間でなく、新しい形があるのではと思いながら風呂に身体を沈めることにする。

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