2014年1月27日月曜日

止められない性悪説化

「アクリフーズ」で起きた毒物混入事件。

食品の毒物混入

待遇への不満を抱えた内部の契約社員による犯行で、「アクリフーズ」は社長が責任を取って辞任し、今後はより検査を強化しチェックを厳しくしていくという。

今は待遇が低いけど将来的な好転を期待しつつ、生涯かけて会社に尽くすような正社員を減らし、景気動向によって人員整理をしやすい契約社員によって業務を遂行していかなければいけない現代の企業。その中で避けられない正社員と契約社員との格差。そしてその待遇に不満を持つ社員が現われるのは必然のこと。

そういう鬱憤を持ちながら日常を過ごす人間は恐らく日本中何処の職場でも、どんな環境でもいるであろう。しかし、この様に自分の人生も、家族の日常も、会社の社会的立場も全て吹っ飛ばしてしまうような行為に及ばれてしまうとは。恐らく特殊解として犯人の人格に関わる部分と、一般解として現在の日本の労働環境があるのは間違いない。

しかし「特殊」であると思っている方が徐々に「一般」へと開いていき、「もういいや」と開き直って、考えられないことを行ってしまう人物が増えてこないとも限らない。

そう考えると、このご時勢に飲食店を経営していくなどということは、本当に怖いことだろうと想像する。ちょっとした注意ごとでも、プライドを傷つけられた若者が、「くそ」と思い、復習の為に今回の事件と同じようなことを企てたとしても、恐らくネットで簡単に農薬も手に入れることが出来るであろうし、それを実行する方法もネットで簡単に検索できるはずである。

そうなると、後はその人物の心の中で何かが一つ背中を押すだけである。それほど、実行への壁が低くなり、それぞれの個人の道徳性や人格というものにかかってきてしまう。そしてそれが一度実行されてしまえば、会社が潰れるどころか、賠償請求などで一生かかるような負債をおってしまうかもしれない。

それを防ぐ為には「アクリフーズ」がコメントしたように、より厳重なチェックを行っていかなければいけなくなる。つまりは誰もが会社の不利益になるような、反社会行為を行う可能性があるとして対応していかねばならない。

留まることのない性悪説への傾倒。

一緒の目的を持って同じ職場で働いている人間が、その根底ではこの会社の存在すら脅かすような行為をする可能性があると疑いながら時間を過ごしていかなければいけないという事実。なんともさもしい時代。なんともしがない現代。

そんなことを考えているとどうもこちらもさもしい気持ちになってくる。一度傾くと止まる事ができないのが人間社会。行き着く先は「ガタカ」で描かれた、遺伝子レベルで反社会行為を行うかどうか調べて社員を選ぶ世界になるのだろうかと思わずにいられない。

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