2013年8月18日日曜日

オペラ 「フィガロの結婚」 ボーマルシェ NCPA 2013 ★★


前回「ホフマン物語」を見に行った時同様に、仲良くさせてもらっているご夫婦に誘われて卵型のオペラハウスへ足を運ぶ。

何でも随分人気があるのか、通常販売のチケットは売り切れだが、どうにかならないかと売り場に足を運んだら、外にいるダフ屋らしき人物からチケットを買えたから一緒に行こうということ。

ただしそのチケットが正規のものかどうか怪しいので、当日正面玄関で待ち合わせて、チケットを渡した後、自分一人が先に入場できるか試すから、それを遠目から見ていて、問題がなかったら入ってきてくれればいいと、本気なのか冗談なのか良くわからない調子で誘ってくれる。

問題なく入場できることができ、いつもどおりに18:30分開幕なので世話しなくサンドイッチを平らげて、一番大きなオペラハウスではなく、小さい方のシアターの上階席へと駆け足で向かう。

今回の題目はボーマルシェが1784年に書き下ろした「フィガロの結婚」 。モーツァルトも作曲でもおなじみのこのオペラだが、「ピーピピ、ピピピ、ピーピピ・・・」というとても伸びやかな曲に気分も高揚する。

付け焼刃で前日に妻が予習した内容を掻い摘んで教えてもらうと、なんでもフィガロ三部作と呼ばれ、主人公のフィガロの生涯を描いた三つのオペラの第二部に当たるという。第一部が『セビリアの理髪師』。第三部が『罪ある母』。そして第二部がこの『フィガロの結婚。つまり前作のお話の続きという訳らしい。

舞台は18世紀半ばのスペイン・セビリア近郊のある伯爵邸。前作「セビリアの理髪師」で、床屋としてこの伯爵とその妻となるロジーナの仲を取り持ったのが主人公フィガロ。そのご伯爵の家来となっているが、今回は伯爵夫人、つまりロジーナに使えているスザンナと結婚をしようという場面。

問題はその伯爵がどうにも好色で、スザンナをどうにかしてやろうと思っていること。対して伯爵夫人は旦那の浮気性に困っているが、同時に伯爵の小姓でイケメンのケルビーノに迫られてもいる。

フィガロといえば、年上の女性であるマルチェリーナに思いを持たれ、以前貸した金が返せないなら結婚しろと迫られている。そのマルチェリーナと共謀するのが医者のドン・バルトロで、男爵夫人のロジーナと結婚したかったがフィガロの活躍で男爵に取られてしまったので、フィガロに復讐心を燃やしている。

などなど、兎に角複雑な人間関係が織り成す喜劇。一緒に観劇した博識のスコットランド人によれば、フランス革命前夜のフランスで、多分に貴族階級への風刺を込めたオペラとなっているという。奥深い・・・

その説明を聞きながら、「しかし初夜権(しょやけん)とは凄いことを考えるな貴族達は・・・」と思いながら、第一幕の開幕。妻に耳打ちされながら、誰が誰かを少しずつ把握していく、と同時にのびやかな音楽にアルファ波も解放され次第に睡魔に誘われていく・・・

うつらうつらしながらも、断片的に物語を追っていき、連続で演じられた第二幕が終わったところで15分の休憩。既に一時間半も経っているのに驚きながら、外の通路で先ほどの食べかけだったサンドイッチを頬張り、中に戻ろうとすると事務所のスタッフとバッタリ会ってしまう。「オペラ好きなの?」と聞くと、たまに来るらしい。

こうした場所で思いもよらない人に会うのは、なんだかまったく知らない一面を見るようでなんだか嬉しくなる。オペラ観劇なんていうのは、まさに大都会の特権。文化的娯楽が享受できるだけの規模を住んでいる都市が持っていることは何とも有り難い事である。

そんなことを思いながら気合をいれて残りの二幕に集中する。喜劇らしいドタバタの展開で、会場から笑いが起こる場面も何度もあり、誰でも楽しめるような内容になっている。押し寄せるアルファ波に流されそうになりながら、なんとか足を踏ん張り最後まで耐えて外に出ると既に10時前。

「今回のチケットは宝くじみたいなものだからお金はもらえない」と頑なに拒む友人に、何とか正規料金だけでもとお金を渡し、次は9月のヴェルディの仮面舞踏会(A Masked Ball)のチケット入手を頑張ろうと約束し家路につく。

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