2013年8月17日土曜日

「パッチギ!」井筒和幸 2004 ★★★

塩谷瞬
高岡蒼佑
沢尻エリカ
真木よう子
小出恵介
オダギリジョー
ケンドーコバヤシ
桐谷健太

その後、まぁ様々な方面で世間を騒がすことになった俳優人達の若き出世作と謳われてはや数年。在日朝鮮人をモチーフにしたヤンチャ青春映画で、後々騒がれることの多い芸能人が多く出ているためによく引用されるだけの作品だろうと毛嫌いしていたが、ふと見てみようと思い立って見ることにする。

これが予想を大きく裏切る形の良作で、後半に向かって感動が押し寄せる。良い歌と純粋な若者のコラボレーションは間違いないと再認識。強く故郷を思う歌、自分の感情を歌うのではなく、民族としての思いを託された歌にはそれだけの力がある。

その思いを若さを使って必死に演じる若者達。その後、色が着いてしまった役者達ではあるが、なんとも純粋な演技で心を打たれる。

自分の無力さを感じ、それでもラジオで「イムジン河」を歌うシーン。様々な人の、いろんな感情がわーーっと押し寄せるクライマックス。それを見ながら、不覚にも泣いてしまう。

いいじゃないかと。

60年代後半の京都を舞台に、在日朝鮮人の女子高生に一目惚れした日本人高校生が、その恋を実らせるためにギターを持ち、彼女達にとって特別な曲である「イムジン河」を引き、朝鮮語を覚えて彼女のハートを掴んでいく。

なんともまっすぐで、なんとも清清しい。

なんでもこの話、発売禁止になった「イムジン河」を歌ったザ・フォーク・クルセダーズの作詞を担当した松山猛による実体験をもとにしているという。

日本がまだまだ荒く、ほこりっぽかった時代。その中に若さとエネルギーを持て余して毎日を必死に感情の赴くままに生きた若者の姿。テレビで偉そうに踏んぞりかえっている姿しか見ていなかった監督の作品だが、実に心を洗われる気持ちになれる一作。
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スタッフ
監督 井筒和幸
脚本 羽原大介・井筒和幸


キャスト
塩谷瞬 松山康介
高岡蒼佑 リ・アンソン
沢尻エリカ リ・キョンジャ
楊原京子 桃子
尾上寛之 チェドキ
真木よう子 チョン・ガンジャ
小出恵介 吉田紀男
波岡一喜 モトキ・バンホー
オダギリジョー 坂崎
キムラ緑子 アンソンとキョンジャの母
ケンドーコバヤシ 東高空手部大西
桐谷健太 近藤
出口哲也 安倍
笹野高史 チェドキの伯父
余貴美子 康介の母さなえ
大友康平 KBSラジオのディレクター大友
前田吟 モトキの父
光石研 布川先生
加瀬亮 野口ヒデト
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作品データ
製作年 2004年
製作国 日本
配給 シネカノン
上映時間 117分
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