2013年7月21日日曜日

瀧原宮(たきはらのみや) 804年以前 ★★★★★


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所在地 三重県度会郡大紀町滝原
主祭神 天照大御神御魂
社格  式内大社,皇大神宮別宮
社殿の様式 神明造
創建  804年以前
機能  寺社
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和歌山を出発し熊野を経由し、熊野街道を使って尾鷲を走りぬけ、紀勢自動車道を走ること1時間半。やっと到着したこの山奥の町。ここが既に伊勢神宮の領域に入っているのを物語るように、この地に鎮座するのは伊勢神宮の内宮(ないくう)の別宮である瀧原宮(たきはらのみや)。

ちなみに内宮は伊勢の神宮の2つの正宮(しょうぐう)のうちの1つである皇大神宮(こうたいじんぐう)の通称である。ついつい「ないぐう」と読んでしまうが、「ないくう」が正式のようである。神道関係は、そのまま音読みしたら偉い目にあうものばかりである。

伊勢神宮は、内宮と外宮(げくう)と呼ばれる二つの正宮があるが、それ以外にも多くの神社が存在する。正宮の下に位置するのが瀧原宮も属する別宮(べつぐう)と呼ばれる神社たち。別宮は、「わけみや」という意味で、正宮に次いで尊い宮ということで、下記の14宮がある。


・内宮の別宮 10社
 荒祭宮
 月読宮  
 月読荒御魂宮
 伊佐奈岐宮
 伊佐奈弥宮
 滝原宮
 瀧原竝宮
 伊雑宮
 風日祈宮
 倭姫宮


・外宮の別宮 4社
 多賀宮
 土宮
 月夜見宮
 風宮

更に下には摂末社や所管社があり、総て合わせると125社にもなり、「伊勢神宮125社」と呼ばれているという。

そんな訳でこの瀧原宮の広大な宮域内には瀧原宮と瀧原竝宮(たきはらならびのみや)の2つの別宮のほか、瀧原宮所管社の3社が鎮座する。

2013年の今年は伊勢神宮の式年遷宮で日本中が盛り上がっているが、20年毎の式年遷宮で造り替えられるのは内宮、外宮の二つの正宮の正殿だけでなく、14の別宮の全ての社殿も同様に遷宮される訳である。ただし別宮の遷宮は、内宮、外宮の遷宮の翌年、つまり来年の平成26年に行われるという。

そしてこの瀧原宮は別宮の中でも最も古い宮で、内宮から遠く離れた所にあることから「遙宮(とおのみや)」とも呼ばれ、その創建は内宮より古いとされ、元伊勢(もといせ)の一つでもあるとされる。ちなみに元伊勢とは内宮を創建した倭姫命(やまとひめのみこと)が、その鎮座地を探して各地を巡りお祀りした神社のことを言うらしい。


とにかくイントロだけでこれだけ必要なので分かるように、長い長い巡礼の旅もついに伊勢の領域まで入ってきたことを意味している。そしてこの瀧原宮は昨晩、勝浦の飲み屋で薦められた場所でもある。

幹線道路脇の大きな駐車場の隅の日陰になっている場所に車を停め、恐らく長い参拝になるだろうと水分補給をし、首にタオル、頭に登山帽と準備をしカメラを片手に一の鳥居をくぐる。

暫く歩くと右に折れて、小さな駐車場の脇に二の鳥居が見えてきて、その後ろはうっそうとした巨木の立ち並ぶ森がぽっかり口を開けている。「これは期待以上のいい参道だ」と感動していると、足元を「シャシャシャ」と走る細い線。

「なんだ!」と思って目を凝らすと、細い茶色の蛇が身体をくねらせながら右の方へと滑っていく。「お、またしても神様だ・・・」と感動しながらもカメラを向けてフォーカスを合わせる。恐らくマムシの子供だと思われるが、落ち葉の陰に見えなくなるまでじっくりをその姿をまぶたに焼き付ける。

「これは伊勢に入ってそうそうに、縁起がいいものを見させてもらった」と気分も上々に、周囲に神様の気配を感じながら砂利道の参道を更に先に進む。

昨日の人も「手水が五十鈴川方式」と教えてくれていたように、暫くすると右に御手洗場の看板が。宮域内を流れる頓登川(とんどがわ)の川原が、自然の御手洗場になっているらしく、石段を降りていくと木々の間を抜けて降り注ぐ日の光を反射するなんとも美しい川原の姿。手に冷たい水を汲み、手と口を清め、しばし川上の景色に目を奪われる。なんとも清清しい風景である。何本もの線のような日の光を見ていると、「確かにここには神様がいるな・・・」と確信のような気持ちになる。

再び参道に戻り先に進むと、参道を邪魔するかのような巨大な杉の木が現れる。その間を縫うようにして先に進むと左手に見えてくるのが4つの社殿。左から瀧原竝宮(たきはらならびのみや)、瀧原宮、若宮神社、長由介神社。本殿の建築様式は、正宮同様に日本最古の「神明造」。

それぞれの社殿の前には鳥居が立てられ、参道から鳥居をくぐって本殿に向かうまでの足元は他の部分の黒ずんだ石ではなく、清純な白い丸石で覆われている。それだけでそこには物凄く強い境界がつくられており、迂闊にその線を踏み越えようとは思いもしなくなる。

「これが伊勢の空間性か・・・」と感心し、順番を守って瀧原宮から参拝。敷かれた砂利に身体を拘束されるのを楽しむように、参拝しては鳥居をくぐり、参道まで戻って再度次の鳥居をくぐるのを繰り返す。

4殿の奥には一段高くなって整地された空地があり、そこが式年遷宮で別宮である瀧原宮と瀧原竝宮が移される場所。これの場所を古殿地(こでんち)、もしくは新御敷地(しんみしきち)と呼ぶという。

次に参拝に訪れるときには、現在の場所に残される若宮神社、長由介神社と、新しい場所へ映る瀧原宮、瀧原竝宮とで、また違った配置を見せてくれるのだろうと想像する。

建物の配置、重厚な参道、常に耳に届く川のせせらぎ、木々の間からの木漏れ日、森の中をかけていく風。どれをとっても完璧な空間。「これが伊勢の空間性か・・・」と再度感心しながら戻る参道の脇に見える消防用ホースの入れ物もしっかりと木造で作られて風景の中の色に同化しているのを見つけ、流石だと脱帽の聖域。






























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