2012年8月11日土曜日

百花山 ★★★★


「山に行きたい」

と、オフィスで呟いていたら、スタッフの一人がお勧めのリンクを教えてくれた。

そのHPではBeijing Hikerの様な外国人向けの活動ではなくて、完全に中国人の中国人による北京周辺での週末活動の紹介が数多載っており、どれもがかなり魅力的かつお手ごろな価格設定。

教えてもらったはいいが、週末は突然襲ってくる締め切りに対応できる様にと、できるだけ間合いを持って臨むのが常となってしまっていて、なかなか時間が取れずにいながらも、いろんな活動内容をチェックしながらウズウズしつづけていた。

先々週は流行の夏風邪に喉をやられ体調崩し寝込み、先週の週末は3日日間で4つの締め切りが重なるという絶望的な週明けに向けての準備に追われ、さて今週は?というと、体調もすこぶる良好で、次の締め切りまではどのプロジェクトも一呼吸おける段階。

しかし、今週末行けるのでは?と分かるのはどうしても金曜日の午後となり、「今週は大丈夫だ。」という確証とともに、オフィスで良さげな活動を選んではメールにてその内容を妻にプレゼン。了承を得たら、「これが」というやつにどうやって申し込むかスタッフに聞いて、登録。なかなか登録が確定にならないのでやきもきするが、当日は集合場所でびっくりするほどの数のバスがいるので、自分達のバスを探すのに手間取らないようにとそのスタッフから注意を受けつつも、「とにかく頂上に出たときの風景の綺麗さは凄いから」と太鼓判を貰って家路に着く。

なんせこちらに来てから始めての登山になるので、HPから昼飯を持ってくるようにや着替えをもって来るようにと中国語でたどたどしく情報を集め、なんと言っても集合場所に指定の時間に着けるようにとなんども確認。白度地图で駅を降りてからの行き方と確認し、深夜前に予約が出来ているか確認が取れて妻と二人で一安心。

そこからソワソワしながら、昼飯となるおにぎり、ゆで卵、きゅうりを準備し、ペットボトルを冷蔵庫に入れ、引越しの際にどこかにしまい込んだ山グッズを引っ張り出しては、持ち物に不備が無いかを再度確認。最後に明日の天気予報を確認し、服装と着替えを詰め込み就寝。

早朝6時に眠気に逆らうようにして身体を起こし、昼用だったおにぎりを妻とシェアしてさっさと身支度を整え、地下鉄一号線の駅までバスにて移動し、土曜の早朝といえども既に混み始めている地下鉄で西へ。ちなみにここまでバスが1元で地下鉄が2元。交通インフラで搾取しようとする国じゃないと、本当に都市の使い方が違ってくるなと納得しつつ、地下鉄の駅から集合場所のホテルの前まで白度地图にてナビゲーション。

予定時刻の20分前くらいに着くと、何台かのバスが既にいるが、如何にも山に行くなという格好をしているおじさんに尋ねると、彼も同じツアーに参加すると聞いて一安心。朝ごはんの足しにと、近くのKFCで朝食セットを平らげ(9元)コーヒーを片手に再度バスの集合場所へ。

ジミー大西にそっくりな引率者の明るいお兄さんと総勢50人近い参加者でバスは結構ぎっしり。一人遅れてくるアクシデントで30分ほど出発が遅れはしたものの、バスは無事に出発し、ジミーちゃんより今日の工程の紹介となぜだか分からないが歌の披露。

そうかと思えば、参加者が一人ずつ前によばれ、自己紹介となぜか小話か歌の披露。これはまずいな・・・と思っていたら、呼び出され自己紹介させられるが、流石に歌は簡便してもらうことに。よくよく見ると、結構一人で参加している若い女の子も多いようで、日本も中国も変わらないんだなとなんだか納得。

総勢50人近い自己紹介を終えた頃には一回目の休憩で、トイレに寄ると案の定「ニーハオ便所」。。。

北京から少し離れるだけで、あっという間に緑に覆われた山々が見えてきて、のどかな風景のなか川で釣り糸を垂らすおじさん達の姿がよく見かけられるようになる。ここもまだ北京かと、その面積が1万6808平方km2で東京都の面積の約8倍だという大きさに納得する。

そして小雨が降り始める中、北京から3時間近くで百花山の登山口らしきところに到着。次第に強くなる雨の中、「4:30には出発しますから」というざっくりした説明のみで皆バラバラと登山開始。流石は人のことを気にしない中国人らしいなと思いながら、カメラを片手に登山開始。

想像よりもずっと整備が行き届いているようで、ところどころにゴミ箱が設置され綺麗だし、石畳が舗装されているのでとても歩きやすい。しかし開始早々の高低差にあっという間に音を上げだす妻を励ましつつ、焦らずにゆっくりと先に進む。強くなったり、弱まったりを繰り返す雨の中、ほとんど視界が開けることなくやっとの思いで休憩所らしきところに到着。

がっつくように、おにぎりとキュウリとゆで卵を頬張り、「こういう時の食事はどんな贅沢な食事にも勝るな」などといいながら、様々なお昼を楽しんでいる姿を横目にあっという間に昼食終了。汗も引いて元気も回復し、軽くなった身体に鞭打ち再度山頂に向かって二人で歩き出す。

さらに強くなる雨に四苦八苦しながら、降りてくる人を捕まえては「すいませんが、あとどれくらいですかねぇ?」と尋ねると、「いやー、もうすぐだよ。」と聞いて、「もうすぐらしいから、頑張ろう」と妻と励ますが、暫く経って「もうすぐとはどれくらいすぐなの??」となるのを何度か繰り返し、やっと「後15分くらいかな」という具体的な答えを返してくれる人に出くわしてラストスパート。

徐々に頭上に指す光が強くなり、上に向かって開けてきているのを感じつつ、階段の先に人の賑わいを耳にして、足取りは徐々に軽くなり、いきなり開ける目の前の風景に感じる達成感。高原植物を痛めないようにと設置された木製デッキを進み、緑のトンネルを抜けると、さらに上へと伸びる階段が現れる。

その先に待ち受けていたのは、「百花山」というこの山の名前に恥じないような、見たことの無いような形や色の様々な花が咲き乱れる草原。その上に伸びる木製デッキの一本道。ある日突然この場所で目が覚めたなら、きっと天国に来てしまったんだろと思うような光景。

その美しさにすっかり疲れも吹き飛び、テンションが上がりきってしまって妻と二人ではしゃぎまわり、若い女の子のグループに写真を撮ってもらおうとすると、「ジャンプして!」と注文をつけられ、二人して天国でのジャンプ。

徐々に強くなる雨に強いられるようにして下山を開始するが、この難易度とコストでこの風景が見えることができるのならば、決して悪くはないねと喋りながら登ってきた道を腿の筋肉を酷使しながら降りていくこと、1時間半。途中すっかりガスが出てきて、さらに幻想的になった山々を眺め、なんとか時間に間に合っての登山終了。

登山口に到着すると、ここもすっかりガスに覆われて、咲き乱れるコスモスの色合いとあいまってさらに不思議な空気をかもし出す。流石に時間通りに降りてこれる人は半分ほどで、暫く待って全員集合。帰りのバスでは流石に皆よい疲労感を楽しみながらぐっすりと眠りに落ちる。

北京市で3番目に高い山である「百花山」。
中国にての最初の登山にぴったしの山である。





























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