2011年12月17日土曜日

一乗谷 朝倉氏遺跡 ★★★

















毎年この時期は大学での卒業設計の指導時期となる。

「人生の透過性」でも書いたが、一人の建築を志す人間が、今までの人生を目一杯使って捻り出すテーマと敷地。

そんな想いを目一杯受け止めるために、毎回可能な限り行ったことの無い場所には足を運ぶようにしている。

今年も渋谷、中野、前橋、埼玉、水海道、鶴ヶ峰、光が丘、横浜、一乗谷と様々な場所に想いを馳せることとなる。

そんな中で行ったことの無いのは一乗谷。

「特別史跡・特別名勝・重要文化財」という国の三重指定を受けるのは、

金閣寺
銀閣寺
醍醐寺
厳島神社

そしてこの一乗谷。
超メジャースポットの中で、異彩を放つ一乗谷だけあって、「あまりにも何もないだから面白い。」なんてキャッチコピーで2011の交通広告グランプリも受賞する。

歴史的に言えば、兵庫県の豪族であった朝倉氏が南北朝時代に越前に入国。その後5代103年にもわたる長期間、北陸の小京都として多くの文化人が京からやって来て、大変な賑わいを見せ、当時の日本で3番目に大きな街となる。

そして山の上には日本百名城の一つである一乗谷城。つまりは朝倉氏の城下町として狭い谷地に流れる川にそって、びっちりと建物が並ぶ風景があったはず。

それが1573年に織田信長によって焼き討ちにあい、その後小規模な発掘などはされるが、文化遺跡としてそれなりの扱いは受けることなく、はっきりいってほったらかしにされてきた場所。

その文化価値に目をつけるソフトバンクがお父さん犬の出身地として位置づけ、何本ものコマーシャルをこの復原町並で撮影し、現代的にもそこそこ有名になってきたところであるらしい。

実際に行ってみると、しんしんと降る雪で谷地のサイドを覆う山の上が白く霞んで、余計にまっすぐ伸びる川の流れとそれに沿う道が印象的。そして川に沿って配置された街道よりアクセスする各邸宅跡地は一部復原されているが、そうでないところも、かならず井戸がぽつん、ぽつんと残っているので、どれだけの大きさの住宅や寺が並んでいたので大体感覚がつかめるようになっている。

よくよく見ると、その敷地にはポツンと木が残っていたり、足元の道には水の流れ道が掘ってあったりと、スケール的に見ても、当時の街並みがよく想像できそうな場所だというのが良く分かる。またそういう想像力が働くということは、やはり発展すべくして発展した土地の力のある場所なんだと実感。

すり鉢状の地形の真ん中を流れる水の音と、時々「ドサッ」と落ちる雪の音。

そんな街には、粛々と堅実にかつてあった街並みをしっかり復原していくのが、一番正しい歴史との向き合い方なのかと想いを巡らせながらまた振り出した雪を避けて車に走る。









































































































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