2011年8月8日月曜日

ロンドン ②


いくらグランド・ツアーだと言っても、始めて訪れたロンドンの「これぞロンドン!」というところを妻に見せない訳も行かないというので、昨晩皆で話し合って決まった比較的女性向けの一日の行動予定。

時差ぼけに乗じて、早く目覚めた朝からランニングで周辺を散策。お二人の家自体がイギリスの建築界が集合住宅に力を入れていた頃に作られた良作なので、この周辺を歩いているだけでも気持ちがいい。

最寄り駅は再開発が進むキングスクロス駅で、世界的に有名な美術学校であるセントラル・セントマーチンズが近く移転してくるという校舎の設計はチッパーフィールドだとか。

ハリー・ポッターが乗り遅れそうになるプラットフォームを眺めながら、やはりターミナル駅の持つ出会いと別れの空間は素晴らしいなと思いながら、それを感じさせてくれる彫刻を横目に、今来た道を帰って家に着くと、出勤前の徹さんがスペシャル・ブレックファーストを作って待っててくれる。まだまだ疲れで起ききれない妻を起こし、泊めてもらって尚且つご飯もつくってもらってと二人して恐縮しきりだが、ランニング帰りにはとてもしみいる。

昨晩、ナオ君から教えてもらったコベント・ガーデンに朝一に妻と二人で冷やかしに行き、これを設計したのがイニゴー・ジョーンズで、彼がイタリアに行ったのがグランド・ツアーの始まりのようなもので、その時もって帰ったのがパラーディオ様式なんだと説明するが、どうにもピンと来ないようで諦めて、こちらはテンションが上がるらしい妻の行きたがってたジェエリー・ショップを探しに行くことにする。

ジュエリー・ショップで念願のデザイナーさんとの対面を果たした妻はすっかり上機嫌なご様子で、暫くこの機嫌が続くことを祈りながら、再度ガイドを申し出てくれたサイリルが車でやってきてくれランチを一緒にすることに。

ザハ・ハディド時代に広州オペラのコンペに勝って、「これはチームでお祝いだ」ということで、当時はなかなか来ることができなかった美味しい中華料理のお店でお祝いしようと、現在の仕事のパートナーのマも含めて一緒にいき、一緒に祝うことになっていたオフィスのマネージャーがまだ来てなかったので、「今日は彼のおごりかそうでないのか?」と三人で詮索しながら、「この段階でオーダーをするのがリスクが多くないか?」などといいながらも、「流石に驕りだろう」ということで豪華な内容にしたら、最終的に割り勘になったという曰くつきのお店で懐かしい話に花を咲かせながら、午後の予定と明日の予定を打ち合わせ。

サイリルは相変わらずどこにいっても店員さんに人懐っこく話しかけ、確実に仲良くなってサービスも気持ちいいものにしてもらえるような人なので、一緒にいてとても心地良い。

夏のロンドンの風物詩でもある、ハイド・パークでのサーペンタイン・ギャラリーが開催されている時期なので、せっかくということでピーター・ズントーの作品をちらっと見に行き、その後せっかくロンドンに来たのだから、切り取られた自然ではなく良き時代の大英帝国の面影を残す大きなスケールの自然を、とキューガーデンまで車を飛ばす。

途中の郊外のこれこそイギリスというのどかな起伏に柔らかい緑溢れる風景を眺めながら、朝も早かったので妻と二人でウツラウツラ・・・。「何度も来ているから外で待っているよ」と、サイリルの粋な気遣いに感謝して、妻と二人でのどかに歩く鴨などに癒され、巨大な植物のスケールに驚かされ、広い空にすっかりテンションも回復。

ここまで来たので、せっかくなので日が暮れる前に間に合えばとハンプトン・コートへ。ダイアナ妃も住んでいたという綺麗な宮殿。こちらもその端正なファサードとプロポーションに「ほぉ」と嘆息する。

夕日に輝く時間にロンドン市内に戻ってきて、今度はテート・モダン周辺へ。徹さんが最近事務所で手がけた集合住宅を見物しにいき、テート・モダンの後ろに広がる再開発地区でロジャースがやった非常に評判が悪いといわれる建物を見て、その評判に納得し、クリスティーナと徹さんと合流。近くの劇場とセットになったお洒落スポットだという雰囲気のいいレストランで、妻に「これぞイギリス」というフィッシュ・アンド・チップスを味わってもらう。

この数日で高まった暴動への緊張感で町中に重装備な警官の姿と、ニュースでの映像にややぴりぴりするが、ロンドンの良さがぎっしり詰まった一日に妻と二人でぐったりしながらも、心地の良い疲労感を抱きながらあっという間に眠りに落ちるロンドン二日目。























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