2011年1月7日金曜日

「売春窟に生まれついて」 ザナ・ブリスキ 2004 ★★
















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「母さんが部屋で働く時は、外か屋上に行って遊んでないといけないの」

こういう映画をゴールデンタイムにフジテレビあたりで放映すれば、日本の何かがきっと変わる気がする。

「父さんが私を売ろうとしたの」

ついでに言えば、一週間に二時間程度、各テレビ局がスポンサー無しでの自社制作の番組放送をし、それぞれがスポンサー獲得の為の視聴率稼ぎではなく、社会に対して何を放映するか本気になって考えれば、このようなセンセーショナルだけれども日本であまり目にすることのないような映画にも生存権が与えられるのではないだろうか。

「貧しくても幸せな生き方があるの。誰かがそれをしなければいけなくて、それが私でいいの。」

もしくはグーグルあたりのスーパー・カンパニーが各テレビ局の同じ時間帯の枠を買い、スポンサーの思惑は、「どれだけ社会性があって、文化的で、刺激的なものです」というくらいの曖昧な題目を与えて、各局に好きなものを流してもらう。そうすれば日本も何か変わる気がすると、つくづく思わされる2005年アカデミー賞最優秀ドキュメンタリー賞受賞作。

BOPビジネスが叫ばれるが、その底辺周辺にも一日嬉しかったり悲しかったりする子供が生きているという強い現実。お婆ちゃんも、お母さんも売春婦で、初潮を迎えたら自分も当たり前の様に客を取り、それ以外の生き方など想像することもない子供達。

カルカッタの売春宿で生まれ育つ子供たちに、ザナというイギリス人女性カメラマンが何年もかけて交流を重ねる。レッド・ライト・ストリートに取材で入ると、そこに住む人々から拒絶をされるので、代わりに子供達にカメラを与え、子供の目を通して世界を見、そこに写る明るさと暗さを捉える。与えるだけではなく、ちゃんと子供達に写真というものを教えていくザナ。構え方から構成とはどうやって要素を四画の中に入れ込むかなど、しっかりと基礎からかなり奥深いことまでじっくりと教え、しかも子供達に自分達で考えさせ、自分達で選ばせる。

イギリスとインド。かつての宗主国と植民地。優しく、しつこく、暖かく子供達に接するザナの姿に、イギリスの懐の深さを感じずにいられない。

成熟拒否の現代日本。派遣村が世を賑わしたのもいつのことだったかそろそろ皆が忘れ始め、今日一日を生きれることが当たり前のこととして身にしみている現代日本人の我々。

それでもモニターの向こうの世界の話なのか、それとも生れ落ちた場所に感謝するのか、はたまた今日一日の過ごし方を恥ずるのか、見終わった時の感想がじっとりと一週間ほど残りそうな映像作品。
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2005年アカデミー賞最優秀ドキュメンタリー賞
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