2010年12月30日木曜日

所沢聖地霊園礼拝堂 池原義郎 1973 ★★★

















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所沢聖地霊園礼拝堂 池原義郎 1973 ★★★★
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所在地  埼玉県所沢市
設計   池原義郎
竣工   1973
機能   神社周辺施設
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2011の方向性を確認するために、2010最後の建築巡礼に選んだのは所沢。先日の講演会でこれは今年中に見なければと痛烈に感じた池原先生の所沢の礼拝堂。2010も残り2日となった、極寒の冬空の下、航空公園を脇目にひたすらスケールのやや大きめで美しい一本の並木道を歩く。

霊園というお墓のスケールの中に、非常にモニュメンタルに大地からそそり立つ礼拝堂を眼にすると、久々にかなりの高揚感を感じられる。雨と予報されていた天気模様だったが、現地に着いたとたんに雲間から太陽が顔を除かせ、とてもよい感じに陽をさしてくれた。

年の暮れ、家族での御墓参りの人々にまぎれ、入り口の鉄を捻った門扉に興奮を覚え、雁行させながら、大地からそそり立つ丘としてのボリュームを左に、大地が裂けるように立ち上がる擁壁を右に見ながら、目の前に待つのは大地から湧き出る泉としての手水。前方後円墳のような形態の泉には残念ながら水が枯れてしまっていたが、そこまで来ると左のアプローチの先に、礼拝堂と納骨堂の二つのエントランスが、木と鉄とでしっかりと区切られ、そこに暗喩される生と死の入り口をはっきりと示してくれる。

納骨堂への非常に重い鉄の扉を開けて、石板の道を進むと、左手に触手の様に、また植物の枝のように、不整形に伸びた納骨スペースが設けられている。突き当たりを右におれると、その先に待つのはH鋼で吊られた一枚ガラスの境界線。その先はスロープ状に造成された大地と、その先にある松林によって有限から無限への世界を感じさせられる。

ガラスの仕切りの横には、礼拝堂内部へ神秘的な光を誘う、コルビュジェ風の厚みを持った開口部。そこには様々な色のガラスが嵌められ、まさに内部には参拝客が一番多いと想定された、冬の正午前後の自然光が、一番美しく注がれているのだろうと想像する。

印象としては、そのレイアウトの秀逸さ。アプローチからアイストップがはっきりしており、シークエンスの中で、常に何を見るかがつかみやすく、しかも一定の視線ではなく、上下左右に視線を振らせる操作によって、動的な空間の連続となっている。そして、聖的な空間に自然な素材を適所に配することで、土に還る場所として、落ち着いた心地よい空間が創られていた気がする。

パソコンの画面では決して感じることの出来ない、手触りや風の流れ方。図面の中に自らの身体を置いて、何を見、何を感じるか考えに考えた結果の有機的なプラン。そした生身の肉体としての自らの身体を現場に置き、作る過程で投影する手の感触。建築は大地から生えていることを再確認させてくれる傑作。

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