2010年6月14日月曜日

「シャトゥーン ヒグマの森」 増田俊也 宝島社文庫 2007 ★★
















陸上最強生物は何か?
アフリカゾウ、ライオン、トラ、カバ、サイ・・・

その問いにかなりの説得力をもって答えてくれる小説。

そしてその答えは

「冬眠に失敗し凶暴化した子連れのヒグマ」

「赤カブト vs 銀牙」にピンと来る少年ジャンプ世代にとっては、
すんなりと納得できる答えかも知れないが、
次々と襲われ、意識を持ったまま食われていく登場人物の描写は圧巻。
自分の獲物はどこまでも追って来るその執念たるや、ひたすら恐怖。

幻の鳥でアイヌがヒグマと並び崇める空の王者・シマフクロウ。
ネズミの天敵として、森の微妙な植物連鎖の要を務める絶滅危惧種が、
登場人物の関係の中でも微妙な要を演じる。

広く深い森の奥には、人の無力さを感じさせる、大きな力がまだまだ残されていると、
改めて感じさせてくれる、とても恐い第5回このミステリーがすごい!大賞優秀賞受賞作。

恐い動物の姿が見たい人にはお勧めです。
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「滅びの笛」西村寿行
「熊嵐」吉村昭
「黄色い牙」志茂田景樹

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