2010年5月15日土曜日

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 谷口吉生1991 ★★★
















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所在地 香川県丸亀市浜町80-1
設計 谷口吉生
竣工 1991
機能 美術館
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人口11万人の讃岐の中核都市・丸亀。このような地方都市では「祭り」というのイベントはまだまだハレの日の様相を見せてくれる。
市の最大級のイベント「お城祭り」クラスになると、小中学生にとっては一年に一度の思い出作りの日で、目一杯のおしゃれをして、誰とでかけようか、気になるあの子に告白しようかと、気合の入り方が格段に違う一日の時間が流れてるんだというのを感じながら、レトロな雰囲気をかもし出す駅前商店街に鳴り響く嬌声の中を丸亀駅に向かうと突然広がる駅前広場。
どーんと広がる駅前の空気を、そのまますぅーっと吸い取る掃除機のように口を広げる立方体が目前に待ち受ける。地方都市の駅前らしく、そんなに大きくないスケールに対して、かなりでかいプラトン立体のスケールのはずし方。視線と動線を受け止める都市的ゲートの役割を果たす。その見えない力線に引きずられるように建物へアプローチ。
建物全面の広場は、ストリート・レベルよりやや上げられていて、左側の階段よりプラザレベルという基壇にあがる。天気にも恵まれたこともあり、プラザではアーバンスカルプチャーの中、子供達を集めてのワークショップが開催されていた。文化施設が都市に開き、市民がそれを受け入れているよい風景になっている。
エントランスは、やはり一度身体を90度回転させて、更に逆に90度回転されるという、お得意のアプローチ。その左には、プラザ・レベルより最上階のカフェを併設したルーフ・ガーデンまで直接にアクセスできる都市的大階段。大屋根がかかっているために、風は抜け、影が熱い日差しを遮り、プラザという都市の舞台を眺める客席のように、日本では珍しく人々が座ってくつろぐ、都市階段としても機能しているようだ。ちなみにこの大階段からの各レベルの展示スペースにもアクセス可能。チケット・コントロールの為に、このようなマルチ・アクセスは運営側からしたら頭を抱えることが多いのだろうが、そういう困難よりも都市への開放性を選び、選ばせた、市民と建築家の想いに力強さを感じる。
内部に入ると待ち受けるのは、エントランスで高さを抑えられたことで感じる身体からの突然の都市的吹き抜け空間のスケール変化。ニューヨークのMOMAの一部を切り取ったような空間構成で、吹き抜けに対して異なる方向性を持って各層の展示スペースが関係付けられる。館内の撮影も問題ないという、こちらも都市への開放系。
各層で全く異なる風景として現れる吹き抜けを体験しながら、上階から先ほどの大階段へでて、トップライトから落ちる光に導かれて最上階のカフェレベルに。3周の壁が立ち上がることによって、風景から切り取られた屋上庭園に対してカフェが開かれ、その視線を受け止める水壁。その後ろに顔を出す高層マンション。見る人も、見られる人も恐らく残念だと思うだろうこの建物・・・ディベロッパーまでは都市の開放系の中に取り込まれなかったわけか・・・
カフェの細部も小物も気が利いてるディテール。心憎い気配りが空間のレベルを持ち上げるんだと感じながら珈琲を味わう。
メインの大階段をくだり、再度プラザへと戻ってくる。一筆書きでぐるりと巡ると建物を体験して最初の場所に戻ってきているという、名建築の一つの解法をしっかりと体現。
市民に愛され、大切にされて、都市に開いた開放系の文化施設の在り方を改めて学ばせてくれる良い建築である。




























































































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