2010年4月9日金曜日

新学期

桜が散りはじめるのと時を同じくし、様々な場所でも新しいメンバーと共に新年度が幕をあける。

昨年から非常勤で講師をさせていただいている東京大学建築学部環境系の前研究室でのゼミも、今年のゼミ方針を決めるために講師会が行われた。昨年から一緒に学生を見させてもらっている前先生を筆頭に、日建設計の設計主管をされてる羽鳥さん、同じく日建設計の川島さん、ランドスケープ・プラスの平賀さん、レビ設計室の中川さんと、仲良くさせていただいているメンバーと久々に顔を合わせる。

昨年は、「環境」というキーワードで本当に正しい設計なのか?ということすらブラック・ボックスに隠してしまうデウス・エクス・マキナ的な免罪符から環境建築を解放しようという意図を込めて、「脱環境建築」というテーマで授業を進め、かなりの混乱を学生達に与えながらも、ゼミを受講した学生が辰野金吾賞を受賞し、更にコンドル賞という日本の近代建築の父・ジョサイア・コンドル博士に因んだ賞も受賞したこともあり、環境系を更に盛り上げようと意気込んでの今年の講師会。ちなみにコンドル賞を受賞した学生には、東大から奨学金が出て、海外の設計事務所に研修にいけるというシステムなのだが、その学生の希望もあり、我々MADの北京事務所での受け入れとなったのだが、こういう熱意を持って海を渡る学生がもっと増えることに繋がればと思う。

そこで今年は、スケールダウンし「住宅」とういフレームの中で再度「環境建築」を考えるという方針になった。というのは、一昨年度の補正予算によって進められた、環境省エコハウス事業を手がけられた日本建築家協会・環境行動ラボの方々も今年は講師として参加していただき、モデル事業である、全国の20地域のエコハウスを見学し、設計者や施工業者への取材を通して、自分の身体で「環境建築」を感じ、設計にフィードバックするという、極めて王道的なテーマとなっている。ちなみにエコハウス事業は全国様々な行政に手を上げてもらい、「環境性」「省エネ性」「ライフスタイル」というテーマで選定を行い、地方に開いた事業を「環境建築」の手法で行うというもので、以下のホームページで詳細が見れる。

http://www.env.go.jp/policy/ecohouse/index.html

冬場の太陽光のありがたさや、夏場の台風前の風の強さなど、そこでの生活が身体に入ってないと分からない微気候をどう設計で解決するか、それは外部からくる設計者にとっての永遠の課題なのだが、その解決につながるインターフェイスとして、このような気候別の地域区分に広がる設計者・施工者・行政のネットワークが受け皿となり、アーキ・ログを増やしていくことが、本当の意味での環境建築の普及に繋がるんだろうと、夜の赤門をくぐりながら考える。

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