この三月に非常勤講師をさせていただいている早稲田大学芸術学校と、世界中で建築のコンペティションを行っている組織・Arquitectumが共同で行った建築国際コンペティション・TOKYO 2010の審査員をやらせていただき、喧々諤々の議論の上、入賞作品を決めてきたのだが、その表彰式が本日早稲田大学理工学部にて本日行われる。
コンペの内容は、表参道のプラダ・ビルの向かいに、日本のファッションの殿堂となるべく、ファッション美術館を100Mの高層建築として提案するというもので、計508組のエントリーの中から入賞3組、佳作9組を選ぶ作業を2日間みっちり時間をかけて行った。
審査員は、早稲田大学芸術学校校長の鈴木了二教授。同じく早稲田大学芸術学校の教務主任であられる赤坂喜顕教授。早稲田大学で助教授をされてるオーストラリア人の ジュリアン・ウォラル氏。東大で研究員をされてるフランソワ氏。そして私の計五名の建築家。
求められたのは各年代ごとの展示空間と、ランドマークとしての建築言語。
編む、ねじる、裁断する、縫う、ひねる、のばす・・・などのファッションにおけるデザイン言語を建築に還元するとどのような空間に置き換えられるか?そんなところを狙ってくるものがもっと多いかと思ったが、意外と直裁な案が多かった気がする。
また、与えられた100Mの高層タワーというヴォリュームに対して、要求された機能空間のヴォリュームを比べると、かなりスペースに余裕ができる。そのヴォイドをどうやって、内部のパブリック空間と外部と都市に対して還元できるのか?
そして、用途地域制限で決して法規的には成立しない、高さの規制が外れたという条件において、表参道の流れを受ける、ジョン・ナッシュのオール・ソウルズ教会的なアイキャッチとしてのランドマーク性を日本らしさを纏いながらどうデザインに昇華させるか。
みゆき通りという表参道からいきなり幅員の減る街路に対しての、下層部のファサード性を考慮したポーディアム・レベルの考え方、そして、ありえない上層部として、タワーの4面性としての構成の変化。
様々な条件のもとに、ファッションの空間としてどのような提案ができるか、また高層ビルの美術館として、新しい建築の構成およびデザインをどう考えるか、そこを基準にエントリー作品を見させてもらったのだが、1等を受賞した作品のみが、意識的かどうかは分からないが、上記の問題にまっすぐに向き合っていたように思える。
一等に選ばれた、韓国・日本の建築家チームが表彰式に招待されているので、実際どのように考えていたのか、じっくり聞いて来たいと思う。
コンペの詳細については以下のホームページより。
Arquitectum
http://www.arquitectum.com/index.php
また、展覧会は早稲田大学理工学部において、入賞作品等の展示が行われているので、興味がある人はぜひ。
早稲田大学芸術学校
http://www.waseda-aaschool.jp/2010/index2.html
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