二日連続で安藤忠雄さんの講演を聴きにいってきた。
しかも二日目は最近どうしようもなく気になる茂木健一郎さんとの対談。
ハウス・メーカーという企業向けの講演では「環境」と「考える個人」がテーマで、最近の作品の説明とともに、今進めておられる「海の森」を通して環境をどう設計できるかという大きな建築家の視点をもって話され、東大での対談では茂木さんと共に「情熱」を育みながらどう地球を歩いてきたか、どう人生を歩んできたかというより個人的な話がメインとなった。
若いころ大学に行くことができなかった代わりに、京都大学や大阪大学の建築学部に行っている友人に本を借り、一日18時間ひたすら本を読むという生活を一年続け、自分の中で「卒業」だと思うことができたという話に、茂木さんは「独学の大切さ」とひどく反応していたが、安藤さんの凄いのはその膨大な知識を自分なりに理解し、消化し知恵とするための歩みを止めなかったことだと思う。大阪の建築事務所で働くようになった週末に奈良まで電車で行き、一日東大寺を見ながらスケッチをしていると自分なりに分かるようになってきて、そんな危なそうな青年を心配してかお坊さんも声をかけてくれ、いろいろと話をするようになって、また勉強をさせてもらったと笑いながら話す姿に、安藤忠雄という人の原点があるんだと理解した。
寒ければ服を着ろ。それでもダメなら諦めろ。それよりも自分だけの空がある生活がいいだろうと施主を説き伏せたという住吉の長屋も、敷地を飛び出しても海に向かいたかったというサントリーホールも、周りにどんどん提案を持っていって、今では第4期まで進んだ六甲の集合住宅も、「知識」を自分の身体で「知恵」にして、その「知恵」から自分の脚とともに「情熱」を生み出し、その「情熱」で養われた「人柄」で友人達とともに実現していく姿勢が安藤忠雄を稀代の建築家にしたのだろう。
本や図面を見ていてもその人の人柄は分からないように、本や図面には現れないからこそ建築の空間体験が美しくあるように、身体という器にどれだけの「知恵」を熱い「情熱」をもって注ぎ込ませることができるかが、デジタル・アナログ両世界での「実現力」に繋がるんだと再認識した濃密な二日間だった。
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