最近、どうしてもやりたいことを暫く口にしていたら、そんな話が舞い込んできた。
言葉というのは声帯で空気を震わせ、その振動が鼓膜に到着し身体反応を起こさせる空気振動の問題である限り、受け手に信号を意味として変換する為の共通認識がない限りそこにシナプスは生成されない。
悠久の歴史を費やして人類が辿りついたのが、クオリアに充ち溢れた個々の身体という、なんとも儚く不安定なインターフェイスに頼るコミュニケーション。「いま、ここ」にある一回性を纏う身体だからこそ、創造という人類のみに許されたエレガントな脳内行為が誘発される。
情報化社会を漂うデジタルな身体において、「アップデート」や「コメント」という行為が、電子に振動を与え、電子のさざ波を対岸へと送り届け、不可視のインターフェイスを構築する。そんな空間で言葉を発して生み出されたこの振動は一体どこに流れ着き、どんな身体に反応を喚起するのか?そこに生成されるシナプスは、より複雑な偶有性に満ち、アナログ身体に思いもしない刺激を送り返すのだろう。
デジタル身体からもやりたいことを言い続けたら、きっと不思議な振動が舞い込んでくるのでは?ということで徒然なるままに書き綴ってみることにした。
今、会って話がしたい人
千利休を解ったと言い切り、小林秀雄を同士と呼ぶ、茂木健一郎氏。最近非常に興味が出てきたので、何冊かまとめて読んでみたが、やはりこの人はプラトンの言うように話し言葉が書き言葉を凌駕する人なんだと思う。脳科学がどうのとかはいいから、普通に話がしたい。したい。したい。
2008年11月13日木曜日
シナプス
2008年2月4日月曜日
2007年12月8日土曜日
不想喝酒
「呑むまいぞ」。
中国語で言ったらこうなるんでしょうかね。
久々に帰ってきてるもんだから、北京で動いている現場に顔を出しに行く。以前展覧会でお世話になった北京のある画廊さんが展示スペースの改装もお願いしたいとのことで、かなり大掛かりに内装の工事が動いている。照明も変えるとのことなので、いくつか決めかねていた部分を現場でクライアントと施工会社と一緒に打ち合わせ。その現場を使って、東京オフィス用の建具も別発注し、一週間で仕上げてくれない?というと、さすがの中国人施工業者も言葉を無くしていた。
昼時間の打ち合わせだったので、皆含めて昼食に行こうとなるのだが、ローカルな中華料理屋に入る。そこでクライアントさん「今日は誰のおごり?」。それによって、頼む品も、お酒も変わってくるということ。それを受けて、ギャラリーのマネージャーと施工業者と僕で、「いやいや今日はうちで」と軽いショートコントに参加。で、あっさり脱落。
そんなこんなで、あたり前のようにビールと白酒を注文し始める施工業者。「我今天不想喝酒、不想喝酒」とぶつぶついうのだが、簡単に押し切られしぶしぶ乾杯。こんなに呑んで、午後からちゃんと床施工できるのか心配になるが、ま、そこは中国と思い直してまた一杯。
中国人に「お帰り」と言われて呑まぬは男がすたると、また一杯。
「我今晩不想喝酒、不想喝酒」と少しサクリファイする昼下がり。
2007年12月2日日曜日
未遂
隣人とは変わった人がすんでるものである。お隣さんはかなりの大人数で住んでらっしゃるようだ。アジア系の奥さんだと思っていた若い女性と昼間ばったり顔をあわす機会があった。夏っぽいセーラー服に鞄。ん?と思ったがさすがに突っ込むわけにはいかない。
そんなことがあった夜にゴミだしでもしようかと思い立ちサンダルで部屋の外へ。あ、と思うのもつかの間、後ろでバタンとドアが閉まる。嫌な予感は的中するもので、内鍵を閉めてしまっていて、入れない。鍵はもちろん、財布すらもってない、ほぼ肌着の状態。これはまずいと思い、下階の管理人室へ。しかし夜の九時にはさすがに帰ってるようでなんの反応もない。昼間の事情があるので、お隣さんに声もかけづらくさらに焦る。さぁ、どうする。
自宅兼オフィスということもあり、広報をやってもらっている親友が恵比寿あたりで飲んでいるという予定だというのを思い出し、早速電話。ワインバーでお食事だと聞いていたので、申し訳なく電話するが出ない。しょうがないので、一緒にいると思われる別の友達に電話。と、繋がり盛り上がっている様子が電話口から聞き取れさらに申し訳なくなってくる。
で、こうこうしかじかでと事情を説明するが、さすがに出てくる訳には行かないと。来てくれれば鍵を渡せるとのこと。しかしお金がない。そこで今度は上階に住んでいる隣人にお金を借りようと思い立つ。電話を鳴らすとドアの向こうでなっているのは聞こえるが出る様子はない。これは取り込み中かと思いながらも背に腹は代えられず、チャイムを鳴らすと、頭を冷やしながら出てきてくれた。熱を出して、寝込んでいたところだと。ほんとに申し訳ないが、こうこうでとお金を少々借りられないかと申し出ると、快く承諾してくれ、さらにスリッパなので、サンダルも借りられれば助かりますというので、サンダルも借りる。
靴下をスリッパの中に押し込み、サンダルに履き替えて、ほぼ肌着なので、電車に乗るわけにも行かずしぶしぶタクシーで恵比寿に。地図を見れない女とはこういうことなんだというような、お店への道順を教えられ、なんとかたどり着くと、一緒に飲んでるのも共通の知り合いだというので、少し飲んでいけばということに。こんなカッコなんでという言い訳は通用する相手ではなく、しゃれたワインバーに風呂上りの肌着状態、プラスサンダルで参加。ワインを一本ほどあけた段階で、あることを思い出す。
ドアの外の窓を開放し、その前に靴下の入ったサンダルを外向きにおいたままで出てきたこと。これを何も知らずに見かけたら速攻警察に通報する、かなりやばいセッティングになっているわけだ。そんなわけで、財布がないので、すっかりご馳走になり、即刻家に戻る。サンダルはそのまま、平和な風景。
2007年9月25日火曜日
美麗新世界
中秋の名月の夜、日中国交回復35周年を記念した現代日本アート展覧会が北京にてオープンした。
外務省の外郭団体である国際協力基金の主催により、初めて中国大陸て行われる大規模な日本現代アート展に相応しく、各世代を代表するアーティストが一堂に会する展覧会となっている。
大御所クラスからは草間彌生、宮島達男、ヤノベケンジ、押井 守ら。その下の世代でアートシーンを引っ張る会田誠、宇治野宗輝、小沢剛、池田亮司ら。そして僕とほぼ同年代の渡辺豪、田中功起、金氏撤平らと、総勢34人のトップアーティストが今の日本で同時に見れる機会は不可能に近く、これが国主導で行われる海外での展覧会の意義なのかと痛感。
そんな展覧会に会場デザインとうい立場で関わることになり、それぞれの作家の突発的な無茶な要求に振り回されながらも、日本を代表するアーティストが今何を考え、どのように表現につなげるのかを、朝から晩まで付き合いながら過ごした濃密な時間を過ごし帰国した。
とにかく、中国のギャラリーという大きなスケールで、これだけの作品群を目にすることは、アート好きでもそうでなくても非常に有意義な機会だと思うので、北京在住もしくは北京に足を運ばれる方はぜひ、立ち寄ることをお勧めします。
開催期間は9月25日-10月21日。
開催場所は中国北京798芸術区内3会場(ロング・マーチ・ギャラリー、東京画廊+BTAP、インター・アーツ・センター)
2007年5月16日水曜日
千夜一夜
海賊たちに囲まれて、1000年前にアラビアンナイトが見た夕日。大西洋の彼方に落ちてゆく太陽は、新大陸での新しい一日の始まりとして生まれ変わる。
ヨーロッパ、中東そしてアフリカ大陸から様々な人、物、文化が行き来するカサブランカの港。千夜一夜の物語では語りつくせない、多くの宝がここを通過してきた。
高校生のときに、10年後の海外で、というよく分からない作文をさせられたことがあった。その時は、宝を求めて、国を超え、大陸を越え、港から港へと飛び回るアラビアンナイトへの憧れからか、ヨルダンかどこかの国にいる設定で作文をした気がする。
時は流れ、国は違えど、ついにアラビアの地で、かつての海賊におとずれたのと同じ沈みゆく太陽を目にすることになる。
手にした宝は何だったのか、それはきっとまた10年後に分かるのかもしれない。
千と一つの夜の後には、間違うことなく千と二つ目の朝がやってくる。その夜に語る物語の準備ができていれば、それでいいのかも知れない。
30になるのが、少し楽しみになった北アフリカの夜。
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