2014年3月6日木曜日

「ワールド・ウォー Z」マーク・フォースター 2012 ★★★

胃潰瘍を煩い、久々に家で休養することに。身体も辛いのでベッドに横になりながら、何本か映画を見ながら時間を過ごす。

ハリウッド大作続きだった2013年の中でもかなり大規模にPRが繰り広げられていた一作。その意味深なタイトルから、また近未来の宇宙人襲来のようなストーリーを想い描いていたので、想いっきり裏切られる。

人類の戦う相手がまさかのゾンビ。ハリウッドもそこまでネタ切れか・・・と思ってみていたら、いやはやこれは凄い。流石はハリウッド。ゾンビと言う使い古されたモチーフを未知のウイルスによって圧倒的な恐怖に変換し、それに最新のCG技術で今まで見たことのない映像としての恐怖体験を作り出す。凄い。

なんと言っても屋上や様々なところから、どんどんゾンビが飛び出していく姿は圧巻。通常の人間なら死んでしまうかもという恐怖心から飛び出すのを戸惑ったり、スピードを緩めてしまうのだが、そういう感覚が一切剥ぎ取られ、生きている人間を追い求め全速力で追いかけてそのまま高層ビルの屋上からぴょんぴょん飛び出してしまうその異常性。その狂気が作り出す映像。

最初は「待てよ、一体ゾンビの何が恐ろしいのだろう?ウイルスに感染したといっても、急に身体能力が上がるわけでもなく、急に知性が向上するわけでもなく、返って頭は鈍くなっているようである。問題なのはその感染力による数の問題なのか?」と思ってみていたが、いやはや恐らくそうつっこんでくる観客がいるのを先回りしてその芽をつぶすかのように、感染した後にはノロノロと使い古されたゾンビ映画の様にゆっくりと動く姿もあるが、一度獲物をセンサーに捕らえたら圧倒的な力とスピードで追ってくるのをしっかりと描きだす。これは一対一でもとてもじゃないが立ち向かえないというのを認知させて更に、圧倒的な数で押し寄せる。

そのパンデミックの情報をいち早く捉えていたイスラエル。まるで911の都市伝説の用であるが、彼らが講じた対策は「高い壁を立てる」というパシフィック・リムに通じる、「人類最後に頼るのは原始的な方法」という訳である。

そして自然現象に対して人工でどれだけ壁で防ごうとしても、それは結局無駄な足掻きだと、津波後の更なる防潮堤を築こうとしているどこかの国への警鐘の様に、何重にもなって押し寄せるゾンビの波が結局は壁を越えていく姿は圧巻。

この映画の影響でその後すっかり「The Walking Dead」シリーズへと嵌っていくのだが、死を超えた存在でありつつも、自分と同じ人間の姿をしたゾンビに対する人類の永遠なる恐怖心と言うのは、この先も時代を超えて何度も繰り返されることになるのだろうと痛感する一作。
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スタッフ
監督 マーク・フォースター
製作 ブラッド・ピット
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キャスト
ブラッド・ピット ジェリー・レイン
ミレイユ・イーノス カリン・レイン
ダニエラ・ケルテス セガン
ファナ・モコエナ ティエリー
アビゲイル・ハーグローブ レイチェル・レイン
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作品データ
原題 World War Z
製作年 2012年
製作国 アメリカ
配給 東宝東和
上映時間 116分
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