2012年7月26日木曜日

新国立競技場設計コンペティション

東日本大震災からの復興のシンボルとして、
また縮小社会の中での新しい建築の在り方を提示し、
世界に先駆けて21世紀型の都市モデルと、
そのアクティビティーの中心となる建築に、
日本の未来を投げかける。

その為に世界中から自由で活発なアイデアを募集し、
国民の総意として新しい日本を代表する建築を作っていく。

明るく輝いて、未来の子供達の声が聞こえてきそうな、
そんな前向きな設計コンペティションになるのかと思われたのが、

新国立競技場設計コンペティション

しかし開けてみた箱の中に入っていたのは、
ガラパゴスの奥地への片道切符で、
欲しかった英知は20世紀のエスタブリッシュからのみのもので、
未来を生きる若者の意見はまったくもって必要とされておらず、
震災後のこの国の振る舞いそっくりな匂いがしてくる募集要項。

建築関係ではない人には分かりにくいかもしれないが、

応募者の代表者若しくは構成員が次のいずれかの実績を有する者であること。
① 次のいずれかの国際的な建築賞の受賞経験を有する者
1) 高松宮殿下記念世界文化賞(建築部門)
2) プリツカー賞
3) RIBA(王立英国建築家協会)ゴールドメダル
4) AIA(アメリカ建築家協会)ゴールドメダル
5) UIA(国際建築家連合)ゴールドメダル
② 収容定員 1.5 万人以上のスタジアム(ラグビー、サッカー又は陸上競技等)の基本設計又は実施設計の実績を有する者

という応募資格は、
野球で言えば以下のいずれかを獲得したものとなるだろうか。
1)日本かメジャーでホームラン王か首位打者、
2)10年連続200本安打、
3)通算200勝、
4)三冠王、

つまりは限りなく少数のすでに巨匠と呼ばれるビッグネームにしか応募資格がないということで、ここまで来ると深読みせずにはいられず、想いの強い若手建築家には、

「世界的エンジニア集団のスポーツ部門とチームアップするなどの、高度の政治手段に訴えてでも第一関門を突破して来い。それくらいでなければ次世代の建築は任せられない。」

という傲慢なメッセージの裏返しか?などと読み返そうとしてはみるが果たして・・・

オフィスにはオランダ、ドイツ、イタリア、アメリカなどの出身者もいるので、募集要項を読ませてみると、「一体、日本はどこにいこうとしているんだ?」と誰もが大笑い。

世界に笑われる国でいいのだろうか?

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